泣けるけど笑える“親バカあるある”満載!?文学YouTuberベルは父親目線で宮沢賢治を描いた『銀河鉄道の父』をどう観た?

インタビュー

泣けるけど笑える“親バカあるある”満載!?文学YouTuberベルは父親目線で宮沢賢治を描いた『銀河鉄道の父』をどう観た?

第158回直木賞受賞した門井慶喜の同名小説を、役所広司菅田将暉森七菜ら豪華キャストを迎えて映画化した『銀河鉄道の父』が5月5日(金・祝)より公開される。「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」などで知られる作家・詩人の宮沢賢治の人生を、その父、宮沢政次郎の視点から描くというユニークなアプローチをした本作。原作小説を読んで思わず涙したという文学YouTuberのベルが本作を鑑賞し、物語の深みやおもしろさと共に、実写映画ならではの魅力を語ってくれた。

読書の魅力を発信する動画クリエイター、文学YouTuberベルが『銀河鉄道の父』を語る
読書の魅力を発信する動画クリエイター、文学YouTuberベルが『銀河鉄道の父』を語る[c]2022「銀河鉄道の父」製作委員会

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

「すごく感動!今年上半期1位の候補になりそうなくらいとてもよかった」

富裕の質屋を営む家長の政次郎(役所)は、明治の男としては珍しい子煩悩な父親で、こと長男の賢治にはすこぶる甘い。一方、長男なのに家業を継ぐことを拒んだ賢治(菅田)は、農業や人造宝石、宗教などにのめり込み、事あるごとに政次郎が金を工面していくことに。そんな賢治にとって一番の理解者は妹のトシ(森)で、結核に倒れたトシを励まそうと、賢治は物語を書き続けていく。やがてトシが旅立ったことで賢治は絶望し、執筆をやめようとするが、政次郎は息子を激励し、再び筆を取らせる。

質屋を継ぐ気がないと政次郎に告げる賢治
質屋を継ぐ気がないと政次郎に告げる賢治[c]2022「銀河鉄道の父」製作委員会

原作小説についてベルは「すごく感動しました。今年上半期1位の候補になりそうなくらいとてもよかったです」と手放しで絶賛。ベルは現在第2子を妊娠中で、かつ男児だということも加味され、より一層、物語が心に響いたそうだ。
「男の子のママになるということで、本作で父親と息子、祖父と父親とか、男親ならではの親子関係がフォーカスされていたことも大きかったとは思います。昔の話だけど、政次郎の父親像には現代性を感じますし、男女関係なしにしても、親が子どもに対して厳格であろうと思いつつ、結局は甘々になっちゃうところにも共感できました」。

菅田将暉のすごい形相に注目!必死に法華経を唱える賢治
菅田将暉のすごい形相に注目!必死に法華経を唱える賢治[c]2022「銀河鉄道の父」製作委員会


ベルは、主人公を宮沢賢治ではなく、父親の政次郎にした点が「絶妙です」と称える。
「宮沢賢治はいきなり人造宝石を作りたいと言いだしたり、法華経にどんどんハマっていったりと、人によっては彼の行動って奇行に見えてしまうし、実際に周りの人も振り回されてしまいます。すなわち、その強烈すぎるキャラクターにより、賢治がなにに影響され、どんな想いを抱えていたのかが押し殺されそうになるんです。でも、それを政次郎という父の視点で見ていくことで、客観性とのバランスがうまく取れていく。ほどよい距離ができて、同情や共感を呼びこめるし、ちょっとコミカルに見えたりもするので、とても効果的だなと思いました」。

■文学YouTuberベル
読書の魅力を発信する動画クリエイター。YouTubeチャンネルの登録者は17万人超え。「気軽に読書を楽しめる仲間を増やしたい」という思いで活動中。書評動画をはじめ、作家対談や本にまつわる解説も行う。YouTubeとリアル書店のコラボ「ベル書店」では本棚をプロデュース。
文学YouTuberベルの公式チャンネル

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