『THE WITCH／魔女 ―増殖―』の“少女”、シン・シア単独インタビュー！“魔女ユニバース”を不動のものにした飽くなき探求心
人間らしい触れ合いで芽生えた、“少女”の心境の変化。「私の心と表情を、別々のものに見せることが大事でした」
シン・シア演じる謎の少女は、表情の変化がほとんどない。「『The Witch／魔女』のジャユンとは違い、少女はこの世から隔離されて生きてきたので、感情表現を持たない」と解釈したからだ。そのため目で多くを物語るように、鏡とセルフカメラを見ながら、少女の表情を作る練習をしたという。しかしその一方で、ギョンヒやデギルとの人間らしいふれあいは、表情には出なくとも少女の心境に一抹の変化をもたらしたように感じる。『THE WITCH／魔女 ―増殖―』は緊迫感みなぎるサイキックアクションムービーだが、怪物のような一面と人間味ある無邪気さが“少女”の人格に同居しているというアンビバレンスが魅力だ。根本はごく平凡なはずなのに、組織によって非人間的存在に育て上げられ、悲しい業を背負わされた少女。この深みが重要だからこそ、人間としての少女の輪郭を形作ることは不可欠だった。
「確かにそれが少し難しかったです。私は(姉弟とのふれあいのなかで)少女に芽生える気持ちを、演じる上ではとても不思議に感じる必要がありました。私の心と表情を別々のものに見せないといけなかったんです。パク・フンジョン監督は、『少女はいつも無表情であってほしい』とおっしゃっていました。ただ私としては、彼女にも考えがあると思っていました。そこで、“少女”がどんな風に考えているかを書きだしてみました。彼女の頭の中では言葉が回っていると思っています。そのまま文字で表すというより、彼女の感情の変化を、心の中でリズムをつけて言葉を並べるイメージでした」
シン・シアはのめり込んだ映画やミュージカルを何回も見直すタイプだと聞いていたが、役柄についても深くアプローチしていく探究心に感動させられた。短編を含めても本作が2本目の映画出演のシン・シアは、伸びしろも大いに期待できる新鋭だ。名優ソル・ギョングも通った名門・漢陽大学演劇映画科の卒業をまもなく控えている彼女はこの5月12日に25歳の誕生日を迎えたばかり。これからどんな俳優を目指していくのだろうか。
「いまの夢は、『THE WITCH／魔女 ―増殖―』の“少女”というキャラクターとはまた違う新しい姿で、観客の皆さんの心を掴めるような良い作品を持って戻ってくることです。あまりにすばらしい役者が多いので、ロールモデルは一人に決められません。出来るならその方々のすべてを学びたいぐらいです。なので、多くのすばらしい皆さんを見て吸収し、努力と成長を続けていける俳優になりたいです」
インタビュー時点ではまだ多くを明かせない様子だったが、すでに次回作のドラマ「ザ・センス」への出演決まっているシン・シア。今後はロマンティック・コメディにも出演してみたいとも語ってくれた。持って生まれた抜群のセンスと演じることへの貪欲さは、シン・シアの表現力にさらなる磨きをかけてくれることだろう。韓国映画界に、またひとつ大きな星が生まれた。
取材・文/荒井 南
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