ホラー映画を“科学”で検証!心拍数モニタリングで見えた、“吊り橋効果”や男女の違いとは?
5月某日のじとじとした雨が降りしきる金曜の夜、東京・渋谷にあるLoft9 SHIBUYAで開かれたMOVIE WALKER PRESSが主催するモニター試写会に、20代の男女60名が集められた。上映作品が伏せられた“スニークプレビュー”の形式が取られたこのモニター試写会。「初夏に公開される大作邦画」という情報のみを事前に与えられた参加者たちは、上映開始の10分前にはほぼ全員が来場。いまかいまかと上映開始を待っていた。
19時ちょうどに主催者が登壇すると、作品名が告げられないまま上映がスタート。スクリーンに映しだされたのは、どこか古めかしい雰囲気の「東映」のマーク。この日上映された作品は、「呪怨」シリーズや「恐怖の村」シリーズを手掛けた清水崇監督の最新作『忌怪島/きかいじま』(公開中)だった。
「あなたの心拍数、見せてください」
実はこの試写会は、一般的なモニター試写会の主な目的である「公開前に観客たちの生の反応を集めること」以外にもいくつかの目的があった。その一つは、「ホラー映画を観た時、人間の心拍数はどのように変化するのか?」を可視化すること。
ショッキングな描写を多用する海外のホラー映画では、観客をおどろかすようなシーンで急激に心拍数が上昇し、いわゆる“ドキドキ”した状態になることは想像に容易い。しかしこれが、終始不穏な空気が流れじわじわと恐怖を駆り立てていく日本のホラー映画=Jホラーではどうだろうか。Jホラーブームからおよそ四半世紀、脳科学を題材にした『忌怪島/きかいじま』こそ、この検証を行うには打ってつけの作品だ!
MOVIE WALKER PRESS編集部では、当日の来場者のなかから数名に、このモニタリングへの協力を依頼した。「心拍計を装着し、映画の上映中のあなたの心拍数を見せてください」。そんな編集部員からの奇妙な誘いに、初めは戸惑いながらも引き受けてくれたのは、男女2名ずつの計4名。
かなり早い時間から入口前で開場を待ち侘びていたAさん(仮名・男性)は、映画館でスリリングな映画を観るのが好きだという。心拍計を装着してもらうと、「もしかしてホラーですか!?」となにかを察した様子で目を輝かせた。続いては、ミニシアターでのバイト経験もあるという洋画好きのBさん(仮名・男性)。今回のようなスニークプレビューに参加するのは初めてとのことで、「映画を観ておどろくことはあまりないので、どういう結果が出るのか自分でも気になります」と、20代らしからぬ落ち着きぶりで語る。
そしてCさん(仮名・女性)とDさん(仮名・女性)は、それぞれこのモニター試写会に応募し、2人そろって当選したという友人同士。普段から毎日のように映画について語り合う大の仲良しだそうで、「2人とも当選できたので、どんな映画が観られるんだろうねって話しながら一緒に来ました」と笑い合いながら心拍計を装着すると、軽やかな足取りで会場のなかへと入っていった。
一般的に、心拍数の平均値は男性が60~80bpm、女性が70~90bpm程度と言われている。はたして『忌怪島/きかいじま』の上映中、この4人の心拍数はどのように変化するのだろうか?