ホラー映画を“科学”で検証!心拍数モニタリングで見えた、“吊り橋効果”や男女の違いとは?
ホラー映画は、コミュニケーションのきっかけをくれる!
上映終了後、4名の協力者たちにモニタリングに参加してくれた御礼を伝えると共に、それぞれの心拍計のデータを見せながら映画の感想を聞いた。
「ホラー映画だとわかった瞬間、『やった!』と思いました」と話すAさんは、平均96bpmという自身の心拍数に「最初から最後までずっとドキドキしていましたが、ビビリなのがバレて、なんだか恥ずかしいです(笑)」と苦笑い。
「全体的に“怖い”というより、ストーリーを楽しみました」と余裕しゃくしゃくの表情を見せたBさん。前述のお風呂場のシーンでの心拍数の変化を伝えると、「そこは完全に油断していたので…。ほかにも何か所かビックリさせられました」とのコメントが。
そして、CさんとDさんは「ホラー映画だったら嫌だなって話してたんですけど、案の定ホラーでした(笑)」と顔を見合わせる。心拍計の数値は比較的落ち着いていたはずのCさんだが、「いきなり怖いシーンから始まったので、早く終わってくれないかなとずっと思っていました(笑)」と、心拍計でも可視化できない不安感があったことが判明。
対照的にDさんは「好きな俳優さんが出ている作品だったのでラッキーと思いながら、怖い部分もあったけれど最後まで楽しく観ることができました」と満足げな笑顔を浮かべた。
心理学の用語に、“吊り橋効果”というものがある。かいつまんで説明すると、吊り橋のような緊張、恐怖を感じる状況でのドキドキ感を、恋愛のドキドキと錯覚し、一緒にいた相手を好きになってしまうというものだ。
デートコースでお化け屋敷やジェットコースターが定番となっているのは、この“吊り橋効果”によるところが大きいが、今回の検証結果を踏まえると、男性がドキドキするのは単発的なショックを与えるシーン、女性がドキドキするのは不安を煽るようなシーンが多いという傾向が見えてくる。もちろん個人差はあるだろうが、本作をデートムービーにと考えている方は、参考にしてみてほしい。
男女でそれぞれ怖いと感じるシーンは違ったとしても、その違い自体がお互いを知るきっかけになるのは、ホラー映画ならではと言えるだろう。特に本作はミステリー仕立てのため、上映後に誰かと語り合うことで、一人では気付けなかった発見もあるかもしれない。映画館で『忌怪島/きかいじま』を観る際には、より親しくなりたい人を誘って、一緒に恐怖を味わってみてはいかがだろうか。
取材・文/久保田 和馬