“フラッシュ×バットマン”対談!細谷佳正&山寺宏一が共演に込めたリスペクト、うれしさ、嫉妬!?
「2人を使って一人でシーンを作っている感覚」(細谷)
――細谷さんは、現在のバリーともう一つの世界のバリーの掛け合いを一人で演じています。どのように役作りをしたのでしょうか?
細谷「主人公のバリーをバリーA、マルチバースのほうをバリーBとすると、バリーAをやっている時は、母親を救いたいのと、父親の無罪を証明したいという想いがすごく強くて。途中でバリーBが出てきた時に、いままでのようにおちゃらけることができないという。“めちゃくちゃ酔っぱらってる人が横にいるから、自分は全然酔えない”みたいな感じになったんですよ(笑)。
そんなバリーAを見た時に、典型的な主人公になっていってるなと感じました。『ジャスティス・リーグ』とか『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』の時は、ただおちゃらけてるオタクの少年みたいな印象が強かったんです。でも自分の想いを果たさなきゃいけないし、母親や父親も救いたいし、自由すぎる少年の要求に耐え、へそを曲げられたらいけないと、大人になっていく姿があったので、自分のパフォーマンスがどう組み上がって、これは効果的か、効果的じゃないかを考えるということで、主人公のバリーAのほうがやりやすかったですね。マルチバースにいるBのほうは反動で責任感とか耐えたりとか、秘密や陰を持つことがまったくないので。セリフを相手に言う時も、伝えるよりも言いたいことばかり言ってる感じでした。だからバリーBのほうは“大丈夫かな…”って想いはありましたね。今回特殊だったのは、バリーBが発した言葉にリアクションするのもバリーAという自分なので、2人を使って一人でシーンを作ってる感覚はありました。なんとかおもしろく噛み合うように、ということを自分で考えながらやりました」
――山寺さんは『バットマン リターンズ』以来となるマイケル・キートン版バットマンの吹替えですが、彼の声を聴いてなにか感じたことなどあったでしょうか。
山寺「そりゃ歳を取ったなと(笑)。あれから30年くらい経っているので、当然ですけどね。マイケル・キートンさんは僕より10歳くらい上なんですよ。だから、昔は僕もちょっと背伸びした感じだったんですけど、今回61歳と71歳じゃ年齢はあまり関係ないのかなという想いはありましたね。それよりもブルース・ウェインがその間どんな経験をしてそこにいたったんだろうと想像し、そのうえでマイケル・キートンの芝居に寄り添うことが一番。表情を、目を、眉毛の動きをきめ細かく見て、声を聴き、どんな感じで言っているのかを日本語で再現する。いつも吹替えはこのやり方をしているんです」