“フラッシュ×バットマン”対談!細谷佳正&山寺宏一が共演に込めたリスペクト、うれしさ、嫉妬!?
「18歳で声優を志して、ここまでくるのに23年かかったんだなと」(細谷)
――本作でバットマンはフラッシュのメンターのような役割です。細谷さんは声優を目指したきっかけに山寺さんの演技を見たことを挙げていらっしゃいますが、山寺さんはどうお感じになっていますか?
山寺「いままで細谷くんと共演はしていたけど、そんなに多くはなかったんですよ。プライベートで食事に行ったこともなかったし。でも、この間、音楽朗読劇(READING HIGH 5周年記念公演 第三弾「BASE METAL」)で共演しまして。その後にちょっと飲みに行って、その時から僕は『細やん』と呼んでるんですけどね。それで細やんからその話を聞いて、最初はサービストークか?と思っていたら、取材でも言ってくれている。本当なんだなと実感している次第です」
細谷「正確には『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズで、同じ作品に出させていただいていたことがあるんです。でもセリフを交わしたことはなくて。今回『ザ・フラッシュ』で山寺さんとお芝居を交わすことができて、同じ映像でしゃべっているのはものすごく感慨深いです。僕がこの仕事を志したのが18歳なので、ここまでくるのに23年かかったんだなと。僕が若手のころ、現場から帰ってきた先輩が『山寺さんに会ったよ』とか『山寺さんって本当に優しいよね』とかおっしゃるんですよ。でも、山寺さんはそんなに簡単に会える人じゃないだろうと」
山寺「めったに仕事しない人みたいに言わないでよ。その23年間もずっと現役なんだから(笑)」
細谷「もちろんそうです(笑)。僕はまだそこに行けてないという想いがあったので。『READING HIGH』で一緒の舞台に立たせていただいて、それから『ザ・フラッシュ』の(日本語吹替版の)収録はすぐだったんですよ。不思議な縁を感じました。山寺さんは僕が声優を目指したきっかけですから、『ザ・フラッシュ』でガッツリ絡むことができてなんか、不思議な感じです(笑)」
「細谷くんのことをちょっと意識してたんです。軽い嫉妬も覚えて」(山寺)
――山寺さんは細谷さんをどうご覧になっていたのでしょうか?
山寺「きっかけになった100人のうちの一人くらいになったことはいままでもあったでしょうけど、ずばりでピンポイントで言ってくれるのは本当にありがたいですね。僕が細谷くんを意識したのは、オーディションで受かったアニメのキャラクターをやった時なんですよ。僕は打たれ弱いのでエゴサはしないんですけど、その時は上手にできたなと思って皆の感想を見たんです。そしたら『細谷くんにやってほしかった』みたいな意見が多数あって(笑)」
細谷「たぶん100件コメントのうちの2つくらいですよ(笑)」
山寺「そんなこともあったし、細谷くんの名前を最近よく聞くなと思っていくつか作品を観てみたら、『これはいい!』と。少年の役もやってるんだろうけど、大人の声もいままで聴いたことのない感じで」
細谷「なんか自分の声変わってきました、確かに」
山寺「芝居もすごくいい。自分の声に酔っちゃう人って多いんですよ。僕もそういう時があると思うんですけど(笑)。でも細谷くんは演劇をやっていたせいもあるのかそういうのがなく、スッとしてる。だからちょっと意識してたんです。軽い嫉妬も覚えて」
細谷「こんなことないですよ。そのことを飲み会の席で実際に言ってくださったんですけど、僕は汗が止まらなかった。言われてなにも返せなかったです」
山寺「本当に魅力的な声と芝居、演技力を持っている人なんだなと思ったので、早めに潰しておかなきゃと(笑)。そんなことも思うくらいだったんですけどね。だから共演してみたいと思ったし、朗読劇の時に生でがっちりやったのに続いて『ザ・フラッシュ』での共演は本当にうれしいです」
細谷「僕も本当にうれしいです」
――最後の質問ですが、今回フラッシュは過去に戻って殺された母親を救おうとします。もし過去に戻って人生を変えることができるという能力があったらお2人は使いたいですか?
細谷「めちゃくちゃおもしろくない答えなんですが、僕はないです。いまの自分が嫌いではないし、たぶんいまの自分が好きなんでしょうね。過去に戻ってなにか変えたらいまが変わっちゃうと思うと、僕は変える必要はないなというタイプです。すいません、おもしろくない答えになっちゃいましたけど(笑)」
山寺「いやでも本当そうですよ。都合よくなんでも変えたらきりないし。僕だって反省とか悔やむことなんて毎日いくつもあるんです。失敗したとか、言わなきゃよかった、言えばよかったとかいっぱいありますが、それがあってのいまの自分ですからね。例えば大災害等の被害が止められるなら、なんとかしたいとは思います。でもそれができないのが人間というか、生きているものじゃないですか。だから戻らないからこそいいのだと、そう思っています」
取材・文/神武団四郎