「THE DAYS」監督の西浦正記、中田秀夫が語る“覚悟”と“使命”「世界に向け、ありのままを伝えなければ」 - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「THE DAYS」監督の西浦正記、中田秀夫が語る“覚悟”と“使命”「世界に向け、ありのままを伝えなければ」

インタビュー

「THE DAYS」監督の西浦正記、中田秀夫が語る“覚悟”と“使命”「世界に向け、ありのままを伝えなければ」

「可能であれば、全8話を一気に観ていただきたい」(西浦)

――吉田所長の役を演じた役所広司さんの現場での“座長”ぶりについてもお聞かせください。

【写真を見る】カンヌ受賞俳優、役所広司の“座長”ぶりを両監督が絶賛!「そこにいるだけで現場が締まる」
【写真を見る】カンヌ受賞俳優、役所広司の“座長”ぶりを両監督が絶賛!「そこにいるだけで現場が締まる」Netflixシリーズ「THE DAYS」独占配信中

西浦「役所さんご本人も、自分が座長ですとか、まとめますといったことを表立ってすることはありませんでしたが、そこにいるだけで現場全体が締まるという感じはありましたね」

中田「この作品はものすごい人数のエキストラの方が出てくださったんですが、役所さんは彼らと共演しているんだという意識をきちんと持っている方なんだと感じました。細かい注文というよりは、この場面でこの人はこの動きでいいのでしょうか?という、普段俳優さんから指摘されることがないような問いかけをして作品のリアリティに寄与してくれたのが印象的でした。さすが何十年も映画の世界でやっている方だなと感じました」

西浦「増本プロデューサーからは、要素の一つとして“無力感”をと言われました。それは最終的に第8話の終盤、役所さん演じる吉田所長のモノローグで感じてもらえればと思っています」

中田「実際の吉田所長も、きっと同じような思いに苛まれたのでしょうね。それは吉田さんも、竹野内豊さんが演じた当直長や小林薫さんが演じた運転員の方もそうだったと思います。あと遠藤憲一さんと石田ゆり子さんの家族の視点も、ぐっと胸を締め付けられるものがありましたね」


原発の外で繰り広げられる家族たちのドラマにも注目
原発の外で繰り広げられる家族たちのドラマにも注目Netflixシリーズ「THE DAYS」独占配信中

西浦「遠藤さんと石田さんの家族の話は、決してテンプレート的なお涙頂戴にならないようにリアルに描くにはどうしたらいいのかと逆に難しいシーンではありました。行方不明になった運転員である息子をお茶の間で待ち続ける。原発のなかのシーンももちろんですが、そうした外で起こる物語にも注目してほしいなと思います。おそらく観ている最中は、シチュエーションや出演者、起こる出来事に引っ張られてなかなか冷静になれるタイミングがないと思いますが、可能であれば全8話を一気に観ていただきたいです」

取材・文/久保田 和馬

作品情報へ