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「THE DAYS」監督の西浦正記、中田秀夫が語る“覚悟”と“使命”「世界に向け、ありのままを伝えなければ」

インタビュー

「THE DAYS」監督の西浦正記、中田秀夫が語る“覚悟”と“使命”「世界に向け、ありのままを伝えなければ」

「放射能の恐怖は目に見えない。どこまで踏み込むべきか悩みました」(中田)

――中田監督といえば、これまでホラーやサスペンス作品を多く撮られてきましたが、その経験が本作にどのように活かされたと感じていますか。

中田秀夫監督の巧みな手腕は、“見えない恐怖”を描くことに発揮された
中田秀夫監督の巧みな手腕は、“見えない恐怖”を描くことに発揮されたNetflixシリーズ「THE DAYS」独占配信中

中田「増本プロデューサーから最初に言われたのは、『放射能の恐怖を最大限に描く努力をしてほしい』というかなり難易度の高いことでした。決してホラー的な作品ではないけれど、作業員の方々が現実に味わった恐怖をどう画面のなかで描いていくか。放射能の恐怖は目に見えない。考えた結果、粒子や銀粉のようなものを空中や水中に撒いてみたりなど、少々ホラー的な手法も取り入れることにしました。また実際に犠牲になった方もいますので、どこまで踏み込んで描くべきかについても悩みましたが、そこは関係者の方々や担当されたお医者さんと話をしながら進めていきました」

西浦「撮影自体は僕の現場と中田監督の現場がほぼ同時進行だったのですが、中田監督の現場では暗闇だったり粉が飛んでいたり雰囲気づくりにかなりこだわられているという話を聞いたので、その時は正直そこまで想像していなかったと驚かされました。僕もそれを参考にさせていただいて、自分の担当回でもやらせていただきました」

――撮影中などにお2人のあいだで演出のすり合わせや、情報共有をすることはなかったのでしょうか。

西浦「増本プロデューサーがあいだに立って逐一チェックをしてくれていましたので、2人で話し合う必要はあまりありませんでした。なによりも、一緒にこのドラマを作る相手が中田監督ですから。安心して観ていれられると言ってはおこがましいかもしれませんが、もう全幅の信頼を寄せて、すべてお任せしていました」

「コード・ブルー」などの大作ドラマを手掛けてきた西浦正記監督
「コード・ブルー」などの大作ドラマを手掛けてきた西浦正記監督


中田「たしか僕らが最初にお会いしたのは2019年でしたよね?まだコロナ前に撮影の下見に行った時だったと思います。西浦さんが撮られた『コード・ブルー』の劇場版を観て、いったいどんな人なのだろうかと興味があって、実際に会ったら想像以上に気さくな方でした(笑)。あの時、一緒に仲良く海鮮丼を食べたのを覚えています」

西浦「食べましたね!」

中田「そこで西浦さんは『あの映画、どうやって撮ったんですか?』と僕に質問してきたり(笑)。すごく和やかな雰囲気で迎え入れてもらったおかげで、チームに入っていけたんだと実感することができました。撮影している時には西浦さんの現場の撮影量がすごく多かったので、西浦さんにしっかり時間を使って撮ってもらいたいと、少しでも早くバトンを渡すことばかり考えていました」

西浦「ありがとうございます。出来上がった作品を観て、中田監督の撮られた第4話と第5話はもうおもしろかったという感想以外思い浮かびませんでした。建屋のなかの緊張感が本当にすごくて、観終わった後には作り手としてさまざまな気付きをもらいました」

「スマホを落としただけなのに」シリーズや『事故物件 恐い間取り』などヒット作を連発している中田秀夫監督
「スマホを落としただけなのに」シリーズや『事故物件 恐い間取り』などヒット作を連発している中田秀夫監督

中田「僕も西浦さんの撮られた回は見事だったと思います。第1話の津波のシーンは特に、ワンカットワンカット丁寧に撮られていて。僕も以前時代劇のホラー映画を撮った時に水槽を使った撮影をやったことがあるのですが、本当に大変なんですよね」

西浦「正直津波のシーンは、センシティブな表現ですのでかなり悩みました。あの映像を観てPTSDになる方もいるかもしれませんが、避けて通ることはできないし、“自然の脅威”というテーマは絶対に表現しなければいけない。そこで今回考えたのは、観る方に臨場感をもってほしいということでした。俯瞰で全体を映すショットではなく、目線の高さで映さなければいけない。きっちりとねらいを定めて、これを伝えるんだと念頭に置きながらあのシーンを作っていきました」

第1話には、この物語を描くうえで避けては通れない津波の描写が登場する
第1話には、この物語を描くうえで避けては通れない津波の描写が登場するNetflixシリーズ「THE DAYS」独占配信中

中田「この作品をいわゆる“ディザスタームービー”と呼ぶべきではないと思いますが、少なからずそうした側面がある。西浦さんは『コード・ブルー』でもたくさんそういう場面を描いてきたと思います。史実であるがゆえに検証も必要でしょうし、CG作業も含めて本当に大変だったろうと感服いたしました」

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