「最後の冒険で手にする本当の宝物」ハリソン・フォードが挑む、最後のインディ・ジョーンズ…映画人たちのコメントから物語を紐解く!
「ドキドキをありがとう!」最後の冒険は感無量…
「インディ・ジョーンズ」の魅力はビジュアルだけではない。右から左に飛び交う矢、唸るムチ、聖櫃から出現し夜空を飛び交う未知の光…『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の立体的な音響効果は第54回アカデミー賞音響編集賞を受賞した。陸、海、空を舞台に繰り広げられる本作でも、思わず首をすくめたくなる音響効果がインディたちの大冒険を盛り上げる。教養バラエティ番組「世界一受けたい授業」でスピルバーグの回を担当するなど、自他共に認めるスピルバーグファンである映画監督の樋口真嗣は「突然現れたその英雄。殴る音と銃声がやたらと大きく、その音に相応しく猛烈に強かった」と振り返り、そんなサウンドにふさわしいインディの活躍を称えた。「強かったのは腕っぷしだけではない。運もめちゃくちゃに強かった。いや。正確に言えばどっちだかわからないぐらい大変な目に遭うけど、命からがら助かってきた。これが冒険なのか!心臓か肺が破裂するかってぐらいドキドキした」。
インディの活躍にハラハラさせられる要因の一つが、その画作り。視覚効果でどんな見せ場も自由に作れる今日だが、スピルバーグからバトンを引き継いだジェームズ・マンゴールド監督はシリーズを踏襲し「動かしすぎないカメラワーク」を採用。老体にむち打つようなインディの生身を感じさせるアクションがスリルを一層盛り上げた。「インディももうご高齢。にもかかわらず相変わらず大変な目に遭っている。応援したいけど、応援するくらいなら自分が変わってあげなきゃいけないのにと申し訳なくなってくる。多分これが見納めだろう。ドキドキをありがとう!」とエールと共に感謝を送った。
本作でも、トレードマークのフェドーラ帽にレザージャケット、牛追いムチを手に世界各地を駆け回ったインディ。『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』公開から42年、第1作の撮影時30代だったフォードも今年で81歳で、本作が彼にとって最後のインディ役とも言われている。真相はともかく頭脳明晰、ユーモアの持ち主で思い込んだらなにがあっても諦めない、いつものインディは健在。ナチスの軍服姿で現れる初登場シーンから思わずニヤリとさせられるラストカットまで、全編その魅力があふれている。
中学生の時に『未知との遭遇』(77)と出会ったことからVFXの世界を志したという映画監督の山崎貴は「引退しかけのインディが最後の情熱を奮い立たせて臨んだ最後の冒険で手にする本当の宝物」と集大成というべきインディの大活躍とフォードの熱演に心を打たれたよう。「それはシリーズの締めくくりに相応しい素敵なものでした。共に歩んできた旅の最後をしっかりと見届けさせてもらいました」。
アップテンポなストーリーと魅力的なキャラクター、体感的な映像で観る者を冒険の世界に連れて行く「インディ・ジョーンズ」。危機また危機のスリルあふれる展開や、歴史の闇に光を当てる知的好奇心くすぐる設定を含め、その魅力がぎっしり詰まった『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を劇場で味わってほしい。