北米興収は4作品が僅差の大激戦!『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』がNo. 1へ返り咲き
先週末(6月23日から25日)の北米興収ランキングは、1位から4位までの興収差がわずか400万ドルという大激戦。1位の作品でも興収2000万ドルを下回っている点は少々気になるが、サマーシーズンの本格化を告げる大作が続々と控えている7月に向けてのひと休みといったところか。
前週1位スタートを飾った『ザ・フラッシュ』(日本公開中)がよもやの前週比27.5%という大転落を喫し、半ば押し出されるかたちで首位に立ったのは、公開4週目を迎えた『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(日本公開中)。週末3日間の興収は1900万ドル。公開4週目末の興収としては歴代66位とまずまずの数字であり、なによりもまだ前週比70%以上の興収を維持している点は立派だ。
23日の金曜日に北米累計興収3億ドルを突破し、28日の時点では興収3億2500万ドルに到達。これは北米におけるアニメーション作品の歴代17位。最終興収3億3600万ドルだった『ミニオンズ』(15)や、同じく3億4100万ドルだった『ズートピア』(16)はすでに射程圏内に収めており、本作がサマーシーズン前半の最大の勝者といっても差し支えないだろう。
一方、そんな『アクロス・ザ・スパイダーバース』にわずか56万ドル差で敗れた『マイ・エレメント』(8月4日日本公開)は2週連続の2位。週末3日間の興収1844万ドルは前週比62.3%。がんばってはいるものの、28日までの時点で累計興収7500万ドル。なんとか1億ドルの大台へ到達できるかの苦しい戦いはまだ続きそうだ。ちなみに3位に転落した『ザ・フラッシュ』はもっと厳しい戦いを強いられており、公開前の評判の高さはどこへやら。いまではラジー賞を警戒する必要も囁かれるほどに。
この上位3作品にあと一歩届かず(『ザ・フラッシュ』とはわずか14万ドル差)4位からのスタートとなったのは、オスカー女優ジェニファー・ローレンス主演のコメディ映画『No Hard Feelings』。破産の危機に瀕した32歳の主人公マディーが、内向的で女性経験のない19歳の青年の両親に雇われ、彼のデートのお相手をすることになる物語で、メガホンをとったのは『グッド・ボーイズ』(19)のジーン・スタプニツキー監督。
初日のデイリー興収では1位だったものの土日でがくんと落ちてしまったのは、ファミリー向けではない作品の宿命のようなもの。それでもオープニング興収1500万ドルという成績は、『レッド・スパロー』(18)とあまり遜色がなく、作品評価も決して悪くない。看板シリーズ「ハンガー・ゲーム」の終了後、なかなか劇場公開作でヒットに恵まれていないローレンスにとって、良きカンフル剤になるのではないだろうか。
文/久保田 和馬