いつもそばにセーラームーンがいた。「美少女戦士セーラームーンCosmos」三石琴乃&北川景子がスペシャル対談

インタビュー

いつもそばにセーラームーンがいた。「美少女戦士セーラームーンCosmos」三石琴乃&北川景子がスペシャル対談

「様々なことを叩き込まれた『セーラームーン』は、私にとって切り離せない作品」(北川)

セーラームーン&セーラーマーズの決めポーズにも完璧に応じてくれたお二人。さすがです
セーラームーン&セーラーマーズの決めポーズにも完璧に応じてくれたお二人。さすがです撮影/河内彩

――改めて、お二人にとって「美少女戦士セーラームーン」という作品はどういう存在でしょうか?

三石「私がここまで声優としてやってこれたのは、この作品があったからというのが大きくて、本当に大切な作品です。Crystalシリーズからは、90年代に皆さんからいただいたエネルギーに対して恩返しをするような気持ちがありました。普段の生活をしていてもセーラームーンが心のどこかにいるような感覚はあるかもしれません。例えば、ときどきスカイツリーのちょうど真上に三日月がくることがあるんですけど、その写真をSNSで見るたびに、まるで大きなムーンスティックだなって思ったりとか(笑)。『こんな大きなムーンスティックがあったら、地球を全部浄化して、世界を平和にできるかも!』なんて突飛なことをつい考えていたりします」

――それはずっとセーラームーンを演じてこられた三石さんにしか思いつかない発想…さすがです!

北川「本当にそうですよね!すてきです…」

90年代のアニメから変わらず月野うさぎ役を演じ続けている三石琴乃
90年代のアニメから変わらず月野うさぎ役を演じ続けている三石琴乃撮影/河内彩

――北川さんにとって「美少女戦士セーラームーン」はご自身の人生にどんな影響を与えましたか?

北川「私はこの作品とも三石さんとも、ずっとご縁を感じているんです。女優デビューのきっかけになったのも『美少女戦士セーラームーン』だし、私がドラマの主演をやる時や、声優に挑戦する時など、要所要所で三石さんとご一緒することも多くて。また、デビュー20周年である節目の今年にこのお仕事をいただいて、人生の様々なターニングポイントを『美少女戦士セーラームーン』とともに歩んできた思いがあります。私にとって切り離せない作品ですね」

三石「実は、大女優さんともなると、昔の特撮作品と紐付けるのはよくないとかもあるのかしら、と心配していたの」

北川「私はむしろ、堂々と発信したい派です。もともとセーラームーンが大好きで『絶対に実写版セーラームーンの役をオーディションで勝ち取って東京に出るぞ!』と思ってやってきましたから。撮影の仕方から現場での振る舞い、アクションにダンスに、本当に色々なことを叩き込まれました」

三石「特撮って大変なんだよね。だから特撮を乗り越えてきた役者さんは、どんな現場でも生きていける強さがあるように感じています」

北川「自分たちでなんでもやる現場なんですよね。特に『セーラームーン』は、変身したあとの姿も自分たちのままなので、そこも大変だったかもしれません」

三石「後ろで、ドカーン!と爆発している前をカッコよく歩いてね」

北川「最初は爆発にビックリしましたがだんだん慣れていって、ナパーム(特撮で使われる爆発)くらいではなんとも思わなくなっていくんです(笑)。ドラマで共演したみんなとも大きな絆が芽生えたことで、くじけずに20年間やってこられたように思います。『戦士会』の全員がいまでも芸能界を辞めずに、同じ世界で頑張っているんですよ。いまでもお互いの作品を観に行きますし、きっとこの作品も観てくれるはず。みんながいたからこそ前に進んでこられて、励みになっているのをすごく感じますね」

うさぎが最後に下す決断と、待ち受ける未来とは…
うさぎが最後に下す決断と、待ち受ける未来とは…[c]武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーン Cosmos」製作委員会


――最後に、大人になったセーラームーンファンに向けて、今回の映画の見どころを教えてください。

三石「大人になるにつれ、セーラームーンがいつも言っている『愛』や『正義』を、ちょっと恥ずかしいと感じることが増えると思うんです。でも、90年代のころから好きでいてくれた方々には、うさぎちゃんの持つ『愛』と『正義』が心のどこかに刺さっているはず。だから今回の映画を観て、そういった忘れかけていたことを思い出して、前向きに人生を歩んで行ってくれたらいいな、と思います」

北川「私はまさに今回の映画から『前向きさ』や『ひたむきさ』をもらったところがあるんです。年齢を重ねるにつれて、失敗を恐れるようになってしまったところがあって…。もう30代だからとか、20年もこの仕事をしてきているから、とかで『間違っちゃいけない』と思うようになっていたんですよね。今作ではうさぎちゃんが、過去の自分の間違いを認めて軌道修正して、再び立ち上がる展開があって、その部分に胸を打たれました。間違えたり失敗したりすることを恐れて閉じこもってしまうのではなく、まさに“ピッと凛々しく”前向きに生きてみたいな、と。自分で自分を抑え込まないで、のびやかにやっていこう、と勇気をもらえました。きっと私と同じ世代の皆さんも、年齢的にそういう時期なのではないかと思うので、セーラームーンに『これでいいんだよ』って背中を押してもらえるんじゃないかと思っています」

大人になったセーラームーン世代にぜひ観てほしい!
大人になったセーラームーン世代にぜひ観てほしい!撮影/河内彩

取材・文/朝井麻由美

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