新時代のホラー短編7作を一挙上映!「第1回日本ホラー映画大賞」受賞7作品をプレイバック
令和の時代の新たなホラー映画作家を発掘・支援するために、KADOKAWA主催のもとで2021年にスタートした「日本ホラー映画大賞」。その第1回と第2回の全受賞作品を一気にスクリーンで目撃できる上映会が、7月28日(金)よりEJアニメシアター新宿にて開催される。そこで本稿では、2021年末に授賞式が行われた「第1回日本ホラー映画大賞」の受賞作品を紹介しながら、上映会の見どころをチェックしていこう。
「日本ホラー映画大賞」は、大賞受賞作の監督に商業映画監督デビューを確約した日本初のホラー映画専門フィルムコンペティション。選考委員長を務めるのは、「呪怨」シリーズや「恐怖の村」シリーズなどで知られる清水崇監督。また選考委員として映像クリエイターのFROGMANや女優の堀未央奈、Base Ball Bearの小出祐介に、映画ジャーナリストの宇野維正といった各界のホラーマスターたちが集結。第2回からはコメディアンのゆりやんレトリィバァも加わり、6名となった。
第1回の応募総数は104作品、第2回は128作品。そのなかから第一次選考を通過した作品をすべて隈なく鑑賞した選考メンバーは、それぞれの視点から作品を分析。恐怖演出や表現の斬新さはもちろんのこと、作り手の将来性にまで想像力をめぐらせながら激論を展開し、選考会議は第1回・第2回共に3時間を超える長丁場に及んだ。選考会議で決定するのは「大賞」と「審査員特別賞」、そして「アニメ部門賞」(第1回は該当作なし)の3部門。ほかに、映画祭の運営委員会パートナーである各社がそれぞれの基準で選出した賞もあり、第1回は全7部門がそれぞれ異なる7作品に渡る結果となった。
長編リメイク版が国際映画祭で大絶賛!第1回大賞受賞作『みなに幸あれ』
記念すべき「第1回日本ホラー映画大賞」で大賞に輝いたのは、下津優太監督の手掛けた11分の短編映画『みなに幸あれ』。授賞式の際に清水監督が「ゾッとするような怖さプラス社会的な通念、世界中に通ずるメッセージが下地に流れている」と絶賛した本作は、田舎に住む祖父母に会いに行った大学生の孫が、家族水入らずで過ごす幸せな時間にどこか違和感を覚えていくという社会派ホラーだ。
すでに下津監督がメガホンをとり、清水監督が総合プロデュースを務めた長編リメイク版『みなに幸あれ』(2024年公開)が完成しており、先ごろ行われた韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭でお披露目されると、国際映画祭デビューでありながらメリエス国際映画祭連盟最優秀アジア映画賞を受賞する快挙を成し遂げた。来たる長編リメイク版の公開に備え、その原点をスクリーンで目に焼き付けてみてはいかがだろうか。