パク・ソジュン×IU『ドリーム』のイ・ビョンホン監督に独占インタビュー。唯一無二の“イ・ビョンホンワールド”の住人たちを生みだす秘訣は?

インタビュー

パク・ソジュン×IU『ドリーム』のイ・ビョンホン監督に独占インタビュー。唯一無二の“イ・ビョンホンワールド”の住人たちを生みだす秘訣は?

パク・ソジュンIUが共演したコメディ『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』がNetflixで7月26日より配信中だ。今作は、ジュノ(2PM)、カン・ハヌルキム・ウビンが共演した『二十歳』(15)、イ・ソンミンシン・ハギュンによるラブコメ『パラム パラム パラム』(18)、韓国で1600万人以上を動員し大ヒットとなった『エクストリーム・ジョブ』(19)、韓国ドラマファンの間で「隠れた名作」として人気を博すドラマシリーズ「恋愛体質〜30歳になれば大丈夫」の監督・脚本として知られるイ・ビョンホン監督の最新作。今年4月の韓国劇場公開から数か月で世界配信、イ・ビョンホン監督は来年初頭に配信予定のNetflixオリジナルシリーズ「Chicken Nuggets(英題)」も控えている。MOVIE WALKER PRESS Koreaでは、アメリカ・ニューヨークで開催されたNYアジアン映画祭に出席したイ・ビョンホン監督の独占インタビューを行った。

パク・ソジュンとIUが初共演!「チャンスがあれば一緒に仕事をしてみたいお2人でした」

【写真を見る】眉間にシワを寄せても隠せないイケメンさ。『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』のパク・ソジュン
【写真を見る】眉間にシワを寄せても隠せないイケメンさ。『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』のパク・ソジュン[c]New York Asian Film Festival 2023

『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』は、2010年にブラジルで開催された「ホームレス・ワールドカップ」に出場した韓国のホームレスサッカーチームの実話が元になっている。破天荒な行いで出場停止処分を受けたサッカー選手ユン・ホンデ(パク・ソジュン)は、サッカー未経験のホームレスを集めた韓国代表チームの監督を引き受け、起死回生を狙う。その姿を追うのは、ドキュメンタリーディレクターのイ・ソミン(IU)。様々な理由からホームレスとならざるを得なかった人々と、再起をかけた2人の闘いが始まる。韓国随一のスターであるパク・ソジュンとIUが初共演というキャスティングは、今作の制作開始ニュースが流れた際から大きな話題になった。2人のファンだったと言うイ・ビョンホン監督は、白羽の矢を立てた理由をこう語る。

「チャンスがあれば一緒に仕事をしてみたいお2人だったんです。彼らの過去の仕事からも卓越した才能の持ち主だということがわかっていたし、彼らの人気は私が説明するまでもないですよね。『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』の脚本は13年前に書いたものですが、改訂稿が上がった際に、それぞれの役にとてもしっくりくるんじゃないかと思いました。2人の相性も、誰が見てもぴったり合うでしょう?」

パク・ソジュンとIUの初共演は、今作の制作開始ニュースが流れた際から大きな話題になった
パク・ソジュンとIUの初共演は、今作の制作開始ニュースが流れた際から大きな話題になった[c]New York Asian Film Festival 2023

イ・ビョンホン作品の特徴は、思わず笑い共感するウィットに富んだセリフと、全ての登場人物が愛しくなってくるキャラクター造形にある。パク・ソジュンとIUというスーパースターが、イ・ビョンホン組総動員のアンサンブルキャストにはまると考えた理由とは?

「お2人の話し方ですね。2人とも、普段からとても特徴のある話し方をするので、2人が会話をしているだけでおもしろい。私の映画はCGIをふんだんに使った大作映画ではなく、会話劇でキャラクター造形が中心にある映画です。キャスティングの際に最も気にかけるのは、独特な発声法や、特徴的な動作をする人。映画やドラマを作る時、まず『この作品が伝えようとすることは?』と考えます。私が作る物語は常に普通の人々の日常と、彼らがどう生きているのかを描いています。そして、私が描くキャラクターはなにかが欠けている人物です。人間とは、常に自分に欠けているなにかを補うために、自分自身で、そして誰かの助けを借りながら生きているものだと捉えているからです。私はおそらく、彼らが葛藤の末に見せる小さな成長や達成に魅了されているのでしょう」

難航していた制作…原動力になったのは、参加を決めた俳優たち

『ドリーム 〜狙え、人生逆転ゴール!〜』の脚本を書いたのは、『サニー 永遠の仲間たち』(11)の脚色などで脚光を浴び、『二十歳』の監督を務める前。ホームレス・ワールドカップの存在を知り、2014年にはアムステルダム大会の取材にも行った。ところが、映画投資家はこのような題材に食指を動かすことはなく、企画は難航した。『エクストリーム・ジョブ』が大成功を修めたことによってようやく制作が動き出したが、最終的に原動力となったのは、この映画に参加を決めた俳優たちの力だという。「今作は私のフィルモグラフィにおいて、最も大切な作品です」と言うイ・ビョンホン監督だが、パンデミック中に行われた撮影は困難を極めたそうだ。

様々な理由からホームレスとならざるを得なかった人々がサッカー韓国代表チームになる
様々な理由からホームレスとならざるを得なかった人々がサッカー韓国代表チームになる[c]New York Asian Film Festival 2023

「撮影はまさにパンデミックの最中で、当初予定していたブラジルでの撮影が不可能になってしまいました。ようやくハンガリーで撮影ができることになったのですが、厳戒態勢での撮影なので、撮影予定のシーン全てを韓国で入念にリハーサルを行い、ハンガリーでは再現するのみ。黙って撮影をこなしていくだけで、その場で何かを思いついても変更も追加もすることができませせん。一切変更ができないというのは、監督としてとても忍耐を強いられる撮影現場でした」

ちなみにラストシーンは、CGや合成ではなくパク・ソジュン自身による入魂の一蹴だという。

ホームレスサッカーチームの選手と周囲の人々には、イ・ビョンホン作品常連の俳優陣が揃う。しかも、彼らの名前はソン・ボムス、イ・ソンミン、キム・ファンドン、ファン・イングクなど、「恋愛体質〜30歳になれば大丈夫」のキャラクターたちと同じ役名なのだ。

「いつも一緒にやっている俳優の皆さんは、とても暖かくパク・ソジュンさんとIUさんをもてなしてくれました。旧知の俳優と一緒にやるのは、確かに楽な部分があります。彼らが私のことを知っていて、私も彼らのことをよく知っているから、あまり会話をしなくてもやりたいことをわかってくれて、撮影時間の節約になります。そして、初めて仕事をする俳優、実力があるのにまだ注目されていない俳優、新人の俳優にもたくさんチャンスを与えられるように心がけています。

思わず笑い共感するウィットに富んだセリフと、全ての登場人物が愛しくなってくるキャラクター造形がイ・ビョンホン作品の特徴である
思わず笑い共感するウィットに富んだセリフと、全ての登場人物が愛しくなってくるキャラクター造形がイ・ビョンホン作品の特徴である[c]New York Asian Film Festival 2023


脚本を書いていると、キャラクター名を考えるのにとても多くの時間を費やしてしまいます。つい、名前に意味を込めたくなってしまって。意味を持たせるならいいのですが、そうでないのならば労働量を減らすために、キャラクター名に友達の名前を拝借するようにしました。そうするうちに、使える名前も限られてしまって。この質問を多く受けるようになったので、今度からは同じ名前を使わないようにします(笑)」
イ・ビョンホン監督は笑いながらそう言うが、作品を追っているファンにはとてもうれしい発見となる。

「実は、日本の視聴者の方々にも『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』を楽しんでもらえているんだと、薄々気づいていました。日本のファンの方々からお手紙をもらったりしていたので。『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』は、多くのファンから『シーズン2を!』というご要望をいただいて、私も考えてみたんですが、本当に時間がないんです。契約している作品が多すぎて、当分は手がつけられない状況です。生きている間に終えることができないくらいの仕事量を抱えているので…(笑)」

ドキュメンタリーディレクターのイ・ソミンを演じるIU
ドキュメンタリーディレクターのイ・ソミンを演じるIU[c]New York Asian Film Festival 2023

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