「日本ホラー映画大賞」受賞作上映会に、ホラー映画界の新たな才能たちが集結!制作の舞台裏や次回作の構想を語り合う
「心が伴っていない笑顔が怖い」人間の恐怖を描く『笑顔の町』
そして小泉監督の『笑顔の町』は、“バズる”動画を撮影するために山奥にある廃墟に潜入した動画配信者とカメラマンの青年2人が味わう恐怖体験を描いた物語。「怖いものはなにかと考えた時に、人間が怖い。そのなかで特になにが怖いかを考えた時に、心が伴っていない笑顔が怖いと思ったのがきっかけです」と小泉監督は作品のコンセプトについて語り、1日で作品を撮りあげた苦労を振り返っていく。
劇中で動画配信者を演じていた菊池は「撮影に挑むまでが弾丸スケジュールだったこともあって、記憶がほとんどないので、完成した作品を観て記憶がよみがえっていきました」と明かし、「カットがかかるたびに監督に確認していましたけれど、そのたび『いまの感じで』と。なので監督を信じて演じていました」と、小泉監督との厚い信頼関係をのぞかせる。すると小泉監督は「役柄的にいえば怖がらせる役。暴虐な感じを出すようお願いしましたが、できていたので」と菊池に賛辞を送った。
ホラー映画界の新たな才能たちの今後に注目!
その後、監督3名は次なる作品の構想についても言及。中野監督は「自分はショートしか制作した経験がないので、もっと爪痕を残せたら長編のイメージも出てくるのかなと感じています」と述懐し、「団地が好きなので、団地をテーマにして恐ろしいものを撮ることができれば」と目を輝かせる。
一方、UMAが好きだという比嘉監督は「今回は心霊系でしたが、より抽象的で人を超越したなにかに挑戦してみたい」と語り、小泉監督も「ギレルモ・デル・トロ監督が好きなので、クリーチャー系や幽霊など、人間じゃないものを出す作品を作りたいと考えています」と、それぞれの展望を語っていた。
8月1日から8月3日(木)までは、第1回の受賞作全7作品が上映される「日本ホラー映画大賞受賞作上映会」。第1回の大賞受賞作で、清水崇プロデュースのもとで長編リメイク版が制作された下津優太監督の『みなに幸あれ』をスクリーンで目撃できるチャンスとなっているので、是非とも足を運び、ホラー映画界の新たな才能たちをたっぷりと堪能してみてはいかがだろうか。
取材・文/久保田 和馬