観ると価値観が変わる？映画『バービー』で描かれる夢のファッションと、完璧じゃない足元

意外にもバービー関連初となる実写映画『バービー』がついに日本で公開。北米では7月21日に公開され、公開週末の3日間で1億5500万ドルの興行を記録し、2023年最高のオープニング記録を樹立したという。本作の監督はグレタ・ガーウィグで、女性監督作品として史上最高額の快挙だ。その他の国と地域で続々と公開されたあとも勢いは衰えず、8月第一週の週末で興行収入が10億ドルを超えたそう。一方で本国の公式アカウントが、作られたミームに便乗する大失態もおかしてしまったが、映画館へ人を動員するこの数字は33年ぶりに破られた記録というからなかなかだ。アメリカをはじめ、世界からピンク色の塗料がなくなったらしい！という都市伝説も、あながち嘘ではないかもしれない。『バービー』のなにが、人々をこれほど惹きつけているのだろうか。

それを紐解くキーワードは、ファッションにある。そもそも、バービーのキャッチコピーは、「世界的人気のファッションドール」だ。いま、世界では“バービーコア”ファッションが再熱中で、ZARA、Gap、Vans、Balmainなどのブランドがこぞって、コラボコレクションを展開している。VALENTINOにいたっては、レディトゥウェア22年秋冬コレクションが、まるごとバービーコアだ。“●●コア”ファッションの出現は、ノームコアからだろう。ノーマル(普通)とコア(究極)を合わせた造語で、なんてことはないシンプルなTシャツやボトムでまとめたような“究極の普通”スタイルを指し、一大トレンドとなってコアファッションという用語も定着した。最近だとグープコア(キャンプやハイキングウェアなどをストリートで着こなすスタイル)などがある。

バービーコアファッション自体は、今年に初めて流行ったものではないけれど、本作の公開によって今年のハロウィンでは、バービーコアが人気コスチュームランキング上位に入るのは、間違いなさそう。ZARAやGapが展開するように「バービー」のロゴやバービーがプリントされたアイテムも、一応バービーコアに含まれるのだが、コアの語源にあるとおり、極めるならやっぱり、バービーランドにそのままお邪魔できるぐらいのレベルに挑戦したい。

映画『バービー』のなかで登場するように、大振りなイヤリングと合わせたホワイトの襟が特徴の70年代風のネイビードレス、光り輝くライフスタイルにふさわしいディスコボールのようなキラキラジャンプスーツ、マーゴット・ロビー演じる“オリジナル”バービーが着用するセイラー、ケン(ライアン・ゴスリングのほう)とペアルックの80年代なローラースケート(エアロビクス)ファッションのどれも、ルックとしてはカワイイのだけど、説明不要のコスプレかつとびきりキュートなのは、デイジーアクセサリーと合わせたギンガムチェックのワンピースかボトムのフレア加減がポイントのウエスタンでしょう。どちらも、バービー人形の洋服としてすでにあったファッションではなく、本作のコスチュームデザインを手掛けたジャクリーヌ・デュランが映画用に作ったスタイルだそうで、あまりにアイコニックなのでマテル社がドールの発売を決めたという、とてもバービーらしいファッションである。

劇中ファッションからおススメしたいもう一つのスタイルは、“本来の自分”を忘れてしまったバービーたちとランドを救うために、チームバービーが出動するシーンで着用するジャンプスーツ。大きくて派手なサングラスを合わせるのがポイントで、何人か集めて実施するときっと楽しい。大統領バービーのルックとも併用可能なので、「あんたが主役」とかのタスキをつければ、コーディネートが完成する。いずれにせよ、バービーコアファッションのキーとなるのは、ピンクの使い方。白の分量が多いピンクであれば、男性にも似合う。プレミアイベントでのライアン・ゴズリングのピンクコーデを参考にしてみてはいかがだろう。