『Gメン』「東京リベンジャーズ」…傷だらけになっても仲間を想うひたむきさが胸を打つ“ヤンキーモノ”
元ヤンキーが教師になって活躍する「GTO」
ヤンキーをテーマにした学園ものには、生徒を主人公にした作品だけでなく、教師を主人公にしたものもある。その中の名作コミックのひとつが、「週刊少年マガジン」にて1997~2002年まで連載された藤沢とおるの「GTO」だ。これは1990~1996年まで同誌に連載された「湘南純愛組!」の続編であり、かつて湘南で暴れまくっていた伝説のヤンキー、鬼塚英吉が、今度はなんと学校の教師になって、学園内で次々と起こる問題を解決していく。
原作では中学校だった舞台を高校に変え、反町隆史主演で放送された1998年のテレビドラマは大ヒット。世の常識にとらわれない元ヤンキーの鬼塚は、いわば生徒たちに最も近い存在だ。いじめ、家庭不和、援助交際といった当時の社会や教育の現場が抱える問題に向き合う彼が、生徒たちから徐々に信頼を得ていくさまは視聴者の胸を打ち、1999年6月に「GTOドラマスペシャル」、またその続編として同年12月に『マスカレード・ホテル』(19)の鈴木雅之監督による映画版が公開された。さらに、この作品は、2012年7月にEXILEのAKIRA主演のテレビドラマでもリメイクされ、2012年10月、2013年1月、2013年4月と3回にわたりスペシャルも放送されるなど、時代を超えて愛されている。
少女漫画を原作とした異色&大ヒット作品「ごくせん」
ヤンキーもの=少年マンガというイメージを覆したのが、少女マンガから生まれた異色のキャラクター、「ごくせん」のヤンクミだ。原作は2000~2007年まで「YOU」で連載された森本梢子の同名コミック。泣く子も黙る任侠集団の跡取りの「お嬢」として育ち、ケンカがめっぽう強い熱血新米教師、山口久美子、通称ヤンクミが、不良たちの巣窟のような赴任先の男子校で、正体を隠しながらも、大事な生徒を守るために活躍する。
自身が不良だったことはないが、極道の世界に身を置いて生きてきたため、なにがあっても動じない肝の据わったところがあるヤンクミ。ヤンキーの生徒を見た目で判断することもなく、筋を通すことを大切にする。そんなずっしりとしたキャラクターは、本作の実写化でプライムタイムの連ドラ初主演をはたした仲間由紀恵にとっても最高の当たり役となった。2002年4月の第1シリーズを皮切りに、2009年3月の卒業スペシャルまで、シリーズ3作、単発2作のドラマが制作され、2009年7月には7年間に及ぶシリーズの完結編として、「カイジ」シリーズの佐藤東弥監督による『ごくせん THE MOVIE』が公開された。コミカルな学園ドラマにして、勧善懲悪の時代劇のような爽快感が味わえるのが本作の醍醐味だ。
ヤンキーが“普通”を目指して学校生活!「ナンバMG5」
2005~2008年に「週刊少年チャンピオン」にて連載された小沢としおの同名コミックと、2008~2011年に同誌で連載された続編「ナンバデッドエンド」を原作に、2022年に間宮祥太朗主演で実写ドラマ化。10代の頃は千葉最強と恐れられた父、レディースの総長だった母、高校時代に関東を完全制覇したカリスマヤンキーの兄、改造自転車を乗り回す中学生の妹という筋金入りのヤンキー家族の次男坊、難破剛が主人公。超有名ヤンキー中学校のアタマを張るほどのケンカの強さを誇り、家族にも全国制覇を期待される剛は、「普通の青春を送りたい!」という夢を叶えるため、家族には内緒で、普通の健全な高校に入学する。
不良に憧れる主人公が高校デビューする話ではなく、ケンカは負け知らずの強い主人公が、高校で脱ヤンキーを目指す。この逆転の発想が、本作の面白さのポイント。学校では美術部に所属する優等生キャラ、学校の行き帰りは特攻服に身を包んだ不良キャラという、バレそうでバレない二重生活の行方にドキドキさせられる。ドラマ版はキャラクターのビジュアルやストーリーも原作に忠実で、原作ファンも大いに喜ばせた。