『Gメン』「東京リベンジャーズ」…傷だらけになっても仲間を想うひたむきさが胸を打つ“ヤンキーモノ”
ヤンキーモノの王道に様々な捻りを加えた『Gメン』
今回公開される映画『Gメン』は、ドラマ「ナンバMG5」の原作者でもある小沢としおが、2014~2018年まで「週刊少年チャンピオン」に連載した大人気コミックの実写化作品。ドラマ「おっさんずラブ」、映画『バイオレンスアクション』(22)の瑠東東一郎監督が、原作をリスペクトしながら、バカバカしくも心温まる笑いと熱い人間ドラマ、迫力あるアクションシーンを融合させ、とびきり楽しい青春ムービーに仕上げた。
もともとヤンキーものを得意とする漫画家、小沢よしお作品の魅力といえば、なんといっても、まっすぐで、優しくて、ちょっと天然な、共感度大の主人公像である。人生初の彼女を求めて、立地的に4校の女子高に囲まれた男子校に転校してくる本作の主人公、勝太(岸優太)もまた、根っからのいいヤツで、応援せずにはいられないキャラクターだ。
そんな彼がいざケンカの場面になった途端、無双の強さを発揮するというギャップもたまらない。もちろん、勝太が自分本位なケンカをするわけはなく、彼が不本意ながらもケンカをする最大の理由は、ただただ、仲間や好きな女の子を守りたい!というシンプルなものである。このストレートな熱さこそが、胸がスカッとする爽快感につながっていく。
ヤンキー作品に欠かせない仲間との絆を描く上では、主人公を取り巻くキャラクターたちも重要だ。本作は勝太を含む1年G組の5人組を中心とした物語だが、金髪にグラサンと全身昭和テイストな梅田(森本慎太郎)、「戦争じゃ~!」が口グセの薙(りんたろー。)のヤンキー2人のほか、プロレスをこよなく愛するガチオタクの肝田(矢本悠馬)、成績優秀&容姿端麗なプリンス、瀬名(竜星涼)と、ヤンキーという枠を超えて、様々な個性のキャラが一緒のグループで友情を育んでいくところがユニーク。ヤンキーではない主人公に対し、ヒロインのレイナ(恒松祐里)がド派手な特攻服を着こんだレディースのヘッドという設定なのもナイスバランスだ。
また、勝太たちを見守る頼もしい存在として、かつて“Gメン”と呼ばれた伝説の不良グループ、伊達薫(高良健吾)と八神紅一(田中圭)が登場するほか、担任教師、雨宮瞳(吉岡里帆)も原作よりハイテンションなキャラとして描かれ、観る者を楽しませてくれる。
そして、ギャグ満載の本作をピリリと引きしめてくれるのは、やはりヤンキー作品の本領発揮となるバトルシーン。クライマックスの“天王会”との決戦では、仲間たちそれぞれが個性に合わせたファイトスタイルを披露し、ケレン味たっぷりの面白さ。パイプやナイフなど武器を使う敵に対し、主人公はあくまでも素手で戦うというヤンキーバトルの王道をおさえつつ、クレイジーなラスボス、加藤(尾上松也)とのタイマンで、ハートもかっこいいヒーロー像をしっかりと印象づける。
現実社会ではヤンキーと呼ばれる若者たちはどんどん少なくなっているいま、ヤンキー作品に登場する、人情味あふれる主人公たちは、もはや憧れのヒーロー的存在。一緒にバカをやって笑い合える仲間との友情、不器用だけど一途な恋愛、青春時代の葛藤を描いた熱い作品から、明日に立ち向かうエネルギーをもらおう!
また、auスマートパスプレミアム会員であれば、『Gメン』の上映期間中、土日平日いつでも、何度でも1100円(高校生以下は900円)で本作を鑑賞できる。同伴者1名まで特典が利用でき、対象劇場は全国のTOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマ/シネプレックス、コロナシネマワールドなど。上映日の2日前0時から(TOHOシネマズのシネマイレージ会員は3日前21時から)購入できるので、勝太たちの奮闘を、ぜひ映画館の大きなスクリーンで見届けてほしい。
文/石塚圭子