相思相愛で企画が実現!『ミステリと言う勿れ』“菅田将暉と久能整"がたどった軌跡

コラム

相思相愛で企画が実現!『ミステリと言う勿れ』“菅田将暉と久能整"がたどった軌跡

「月刊フラワーズ」で連載中の田村由美の同名漫画を原作に、2022年1月期にフジテレビ系列で放送され好評を博したテレビドラマの劇場版『ミステリと言う勿れ』が、いよいよ9月15日(金)より公開を迎える。天然パーマがトレードマークで友達も恋人もおらず、カレーをこよなく愛する大学生の久能整役を、テレビドラマに続いて菅田将暉が演じている。本稿では、そんな菅田と久能整の軌跡をたどっていこう。

原作の人気エピソード“広島編”を映画化!
原作の人気エピソード“広島編”を映画化![c]田村由美/小学館 [c]2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

魔法のようなおしゃべりで、菅田将暉の新たな代表作に!

原作の人気エピソード“広島編”が描かれる本作。美術展のために広島を訪れた整は、犬堂我路(永山瑛太)の知り合いだという女子高生の狩集汐路(原菜乃華)と出会う。彼女はバイトと称して整を狩集家の莫大な遺産相続をめぐる謎解きへと巻き込んでいく。遺言書に書かれたお題に従い謎を解いていくうちに、次第に明らかになっていく遺産相続に隠された“真実”。そこには世代を超えて受け継がれる一族の“闇と秘密”があった。

2022年12月中旬にクランクインを迎えた映画『ミステリと言う勿れ』
2022年12月中旬にクランクインを迎えた映画『ミステリと言う勿れ』[c]田村由美/小学館 [c]2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

いまから遡ること約3年半前、2020年の春頃に松山博昭監督と草ヶ谷大輔プロデューサーが原作漫画を読み、映像化したいと意気投合したところから始まった「ミステリと言う勿れ」。そこで整役として白羽の矢が立てられたのが菅田将暉だった。ドラマの制作発表がされた2021年6月時の草ヶ谷プロデューサーのコメントによれば、菅田自身も「この原作だけは絶対にやりたいと思った」と意気込み、原作者の田村も「菅田さんの整くんが見たい」と願ったという、まさに相思相愛で企画が実現に至った。

そしてドラマが放送されるや、整が見せる魔法のようなおしゃべりと新感覚なミステリー描写が大きな話題を呼び、2022年日本民間放送連盟賞の番組部門テレビドラマ優秀賞など数々のドラマ賞を受賞。菅田自身も「まさに整そのもの!」といった圧倒的支持を受け、東京ドラマアウォード2022やザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演男優賞を受賞。これまで様々な役柄をこなしてきた、当代きっての演技派俳優の一人である菅田にとって、新たな代表作と言っても過言ではないだろう。

整のキャラクター像を完璧に掌握し、菅田将暉にとって新たな代表作となった
整のキャラクター像を完璧に掌握し、菅田将暉にとって新たな代表作となった[c]田村由美/小学館 [c]2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

「連続ドラマの時に菅田さんと話したのは、整をただしゃべり続けるだけの変わった人にはしないようにしようということでした」と明かす松山監督。「もちろん変わった人ではあって、しゃべり続けはするけれど、相手のことを気にしないわけじゃない。相手の反応を見ながら、相手に届くように思いや考えをぶつけていく人にしましょうと。始まった当初は、ちゃんとそういうふうに見えているか確認をしながらやっていました」と振り返る。

「変わった人であっても相手に届くように」菅田と松山監督が話し合って作りだした、久能整というキャラクター
「変わった人であっても相手に届くように」菅田と松山監督が話し合って作りだした、久能整というキャラクター[c]田村由美/小学館 [c]2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

さらに「最初はしゃべる速度も悩み、やりながら探っていったところはあります。でもそれもすぐに出来上がって、あとは整について細かい段取りの相談だけで、大きくなにかを言うことはなかったです」とも語っている。このようにして、菅田と共に“久能整”というキャラクターを作り上げ、菅田はそれを完璧なまでに掌握していったという。

劇場版でも変わらず“しゃべる”久能整の魅力とは?

その甲斐もあって、テレビドラマ版から間隔が空いた2022年12月中旬に劇場版がクランクインを迎えると、菅田は硬さも緩みもなく、ごくごく自然に整役にカムバック。撮影現場では松山監督と菅田が話し込む姿が頻繁に目撃されたというが、整についての意見を交わすことはなく、各シーンごとにほかの登場人物の心情であったり、それぞれが作品を通じて感じていることをしゃべり続けていたのだとか。

菅田将暉はもちろん、松山博昭監督もテレビドラマ版から続投
菅田将暉はもちろん、松山博昭監督もテレビドラマ版から続投[c]田村由美/小学館 [c]2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社


テレビドラマ版からタッグを組み、厚い信頼関係で結ばれた松山監督と菅田のその光景は、まさに“しゃべる”ことで様々なことが見えてくる本作ならではのもの。『ミステリと言う勿れ』では、テレビドラマ版と変わらず魅力的な久能整の姿と、格段にスケールアップを遂げた“おしゃべり”とミステリーを目撃することになるだろう。

文/久保田 和馬

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