『二十歳に還りたい。』赤羽博監督&田中宏明&三浦理香子が明かす現場の雰囲気と作品にかけた想い「誰かを愛することで人生は変わっていく」
「田中さんは、いつも現場をリラックスさせてくれます」(三浦)
――先ほど赤羽監督からは「“文学的な余韻”を大切にしたい」というお話がありました。役者さんにはどのようなお願いをしましたか。
赤羽「お2人には、セリフではなく、表情から登場人物の気持ちを出してほしいと思っていました。僕は言うだけだからいいけれど、それを演じる側としては大変ですよね(笑)。とにかくこちらは『想像しろ』『考えろ』『迷え、どんどん迷え』ということを言っていました。迷うと、表情が変わってくるものなんです。寺沢という役は本当に難しい役で、津嘉山さんにはこれまで生きてきた歴史があるけれど、田中くんはまだ若い。それでいて80歳の役を演じるんですから、想像する力がとても重要になる役です。また、オーバーにやってほしくないとも思っていましたので、余計なことはせずに、削ぎ落とすということも大切。三浦さんは、寺沢と出会った時、父親に怒られた時、褒められた時など、その時々の表情を素直に出せるところがとてもいいなと思いました。オーディションでお会いした時も、華美な自己PRをせず、おとなしい雰囲気がありながらも、目はしっかりと生きていた。そういった魅力は、“文学的な余韻”を残す作品に活きてくるなと思いました」
――現場作りで大切にしていることはありますか?
赤羽「僕は、俳優さんももう一人の演出家だと思っています。このシーンについてどのように考えて、どのように演じるかと、おもしろいものを一緒に目指していくわけですから。そういった時に大切になるのが、本音を言い合えるような関係を作ること。いつも『なにかあったらなんでも言ってくれ』と話しています。監督がそんなことを言っても、言いづらいかもしれないけれどね(笑)」
田中「僕は監督を信頼しているので。相談もさせていただきますし、監督がひと言投げかけてくれるだけで感情も動きます」
赤羽「うれしいことを言ってくれるね(笑)」
――現場のムードメーカーとなった方はいらっしゃいますか。
田中「やっぱりそう考えると、赤羽監督ですね。赤羽組は、監督をリーダーとした一体感があって、そこに入っていけば大丈夫だと思わせてくれます。とても重要な場面の撮影では、赤羽監督がものすごく僕たちに寄り添ってくださって、たくさんアドバイスをしてくれました。撮影前日には、三浦さんとも『明日は頑張ろうね』と声を掛け合い、お互いに気持ちを乗せながら、集中して演じることができたなと思っています」
三浦「もちろん赤羽監督もムードメーカーですが、田中さんもムードメーカーだと思います」
田中「(ムード)メイクしていますか!?」
三浦「田中さんは、『見守っています』という感じの穏やかな雰囲気を醸しだしていて、いつも現場をリラックスさせてくれるんです。サッカーのシーンの撮影日も印象的です。私はサッカーが好きなので、撮影の合間にゴールに向かってボールを蹴ったりして、それを田中さんに受けてもらったりと、結構遊びましたよね」
田中「青春を味わいました(笑)!」