山下智久主演「神の雫/Drops of God」原作者は、海外でのドラマ化&ラストの“答え”になにを思う?
「作品の“世界観”をちゃんと捕まえてくれていれば、性別や国籍は些細なこと」(樹林伸)
――お話にもあったように、「神の雫」はこれが2度目の実写化です。「金田一少年の事件簿」がキャストを変えて何度も映像化されているように、同じ作品が異なるかたちで繰り返し映像化されているのも先生方の作品の特徴かと思いますが、お2人はいつも映像化された作品にどう向き合っているのでしょうか?
伸「ある種、“別物”だと思って観ようとは常に思っています。それは原作者である僕らが原作との違いを気にしだすとキリがなくなってしまう。自分たち以外のクリエイターの手が入ったものに関しては、あまり神経質になりすぎないように心掛けているのです」
ゆう子「今回の作品もそうですが、原作とは別物として楽しめることが一番大事なんですよね」
伸「2人でよく話しているのは、細かい部分ではなくて“世界観”がちゃんと伝わっているかどうかなんです。僕らが表現している作品の世界観をちゃんと捕まえてくれていれば、変更点があっても全然いいんです。そのうえでおもしろい作品になっていれば、どんな変更でも受け入れています。ストーリーが少し違うとか、主人公が男から女になったのなんて些細なことです」
ゆう子「そう。雫をカミーユという女性にするという話は、そのアイデアを聞かされた時に“その手もあるな”と。抵抗感がまったくありませんでした」
伸「企画が動きだした時には、原作と同じ男同士でした。でもしばらくして、フランスの方から大きな変更を相談したい、雫を女性にしたいと提案され、即座におもしろそうだと思いました。原作にも女性はいっぱい出てきますが、雫と一青を男同士にしたのは、男女だと対決よりも恋愛っぽさが見えてしまわないかということが理由でした。でもドラマとして短いスパンで見ると、充分すぎるくらい対決感が出ていたし、ハラハラする感じも強まっていたと感じます。実は僕らはいま『神の雫』の新たな続編の準備をしていて、『マリアージュ 〜神の雫 最終章〜』の最終回で一青とローランの間に子どもができるという終わり方をしましたが、その子どもが女の子で、彼女を主人公にした物語になる予定です」
ゆう子「それはこのドラマの影響もあるんです。ワインにはいろいろな姿があって、そのなかには男のようなワインも女のようなワインもある。今回のドラマで主人公の国籍が変わったことも同じです。そもそもワインは多国籍なものですからね。ワインを通して、世界の広がりがあることを表現できたのはとても良かったと感じています」