宮沢りえが『火の鳥 エデンの花』映像化への想いを語る「火の鳥は手塚さんの信念に羽が生えたよう」

インタビュー

宮沢りえが『火の鳥 エデンの花』映像化への想いを語る「火の鳥は手塚さんの信念に羽が生えたよう」

手塚治虫の名作漫画「火の鳥」全12編より、地球と宇宙の未来を描いた「望郷編」をアニメ映画化した『火の鳥 エデンの花』(公開中)。『海獣の子供』(19)などのSTUDIO4℃が、7年の製作期間をかけて壮大なスケールの映画を完成させた。本作で描かれるのは、地球から遠く離れた辺境の惑星エデン17に降り立った主人公ロミの人生、そして愛と冒険の物語。1300年の時空を超え、数奇な運命を辿るロミを演じた宮沢りえが、いま本作が初アニメ化された意味に触れつつ、その楽しみ方を語ってくれた。

「視覚的にとても美しいもののなかに普遍的な大事なメッセージが込められています」

【写真を見る】子どものころは「『鉄腕アトム』に魅了され、『リボンの騎士』のイラストがついた自転車に乗っていた」と語る宮沢りえ
【写真を見る】子どものころは「『鉄腕アトム』に魅了され、『リボンの騎士』のイラストがついた自転車に乗っていた」と語る宮沢りえ撮影/河内彩

「子どものころは、はつらつとした『鉄腕アトム』に魅了されたり、『リボンの騎士』のイラストがついた自転車に乗ったりという楽しみ方。確か家にはアトムのアートも飾っていた記憶もあって。漫画としてストーリーがあるものとしても偉大ですが、アートとしても世界にとても偉大な影響を与えているし、私自身、その影響を受けていると感じています」と手塚治虫が身近にあったという自身の子ども時代を振り返る宮沢。アニメーション制作を手掛けたSTUDIO4℃は、これまでアートな映像作品を世に送り出してきたこともあり、宮沢も言う“アートとして世界に影響を与えた手塚作品”の映像化にぴったりのスタジオといえる。「視覚的にとても美しいもののなかに普遍的な大事なメッセージが込められています。こういう作品は、いま作られる意味がとてもあると思います。美しい映像で世界観を楽しみ、どんなメッセージを受け止めるのか。それぞれが受け止めたメッセージを共有しあって生まれてくるものを大切にできる映画だし、私自身もそれを大切にしたい、信じたいと思っています」。


わけあって恋人のジョージと共に地球を離れ、惑星エデン17で息子のカインと共に暮らす
わけあって恋人のジョージと共に地球を離れ、惑星エデン17で息子のカインと共に暮らす[c]Beyond C.

宮沢演じるロミは、恋人のジョージと共に地球を離れ、辺境の惑星エデン17で息子のカインと暮らしていたキャラクター。カインの未来のために、彼が大人になるまでコールドスリープに入ることを決意するも、機械の故障により1300年も眠り続けてしまう。ようやく目覚めたロミは、新人類が築いた巨大な町エデン17で女王になるという数奇な運命を辿る。「とにかく冒険のスケールが大きいし、感情的にもだいぶ飛躍するところがあるので、リアリティを追求するのはなかなか難しいことでした。地球を捨てて恋人と一緒にほかの惑星に行く。まずそこに、『行くんだ…』みたいな気持ちになって(笑)。さらに子どもを産み、育て、そして子どもの未来を思って自分の肉体を眠らせる。そして1300年後に目覚める。想像を超えて飛躍していくなかに、自分なりのリアリティやロミが抱いている感情をその都度、大事に考えるようにしていました」とロミへのアプローチを明かす。

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