上野樹里、ミュージカル「のだめカンタービレ」で再び「ぎゃぼーっ!」と叫ぶ!初舞台で透明感のある歌声も披露
ドラマでおなじみ!ベートーヴェン「交響曲第7番」を新バージョンも楽しめる
千秋が華麗にタクトを振るSオケやR☆S(ライジングスター)オーケストラの演奏シーンは、2階建てのセットで表現。有澤演じる峰のロックな演奏や力強い歌声、仙名演じる清良の美しい歌声にクールな佇まい、内藤扮する真澄が千秋への愛を爆発させながら笑いを誘う姿がとても印象的だ。
舞台では、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』」「ヴァイオリン・ソナタ第5番『春』」「交響曲第7番」、ブラームス「交響曲第1番ハ短調 Op.68」「パガニーニの主題による変奏曲」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」、シューベルト「ピアノ・ソナタ第16番 イ短調 D.845」、ショパン「エチュード 第4番 Op.10-4 嬰ハ短調」、ドビュッシー「喜びの島」、ストラヴィンスキー「『ペトルーシュカ』からの3楽章」、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」などのクラシック楽曲がたっぷりと披露されるなど、クラシックブームを巻き起こした「のだめカンタービレ」らしいミュージカルとなっている。ドラマでの主題曲、ベートーヴェン「交響曲第7番」は、劇中に何度も流れるため、ドラマファンにはたまらない。さらに今回は、劇中歌としても楽しむこができるのも注目ポイントだ。
竹中演じるシュトレーゼマンも序盤から怪しげな佇まいで、セリフがないにもかかわらず圧倒的な存在感を漂わせている。シュトレーゼマン演じる竹中が初めてセリフを口にしたシーンでは、上野同様、ドラマ、映画と全く変わらないおなじみの口調で魅せ、観客は大爆笑。セリフともアドリブとも判断ができない竹中のシュトレーゼマンが登場するたびに、客席に笑い声が起こっていたのも印象的だった。竹中扮するシュトレーゼマンがエリートで“俺様”な千秋をぶんぶんと振り回す。2人のコンビネーションにも注目だ。また、劇場版にテオ役で出演していたなだぎ演じる、ハリセンでおなじみのピアノ科の教授、江頭も存在感を発揮している。ハリセンを打ち鳴らしながらの熱血指導はなだぎらしい軽快な演技で観るものを惹きつけていた。
また、「のだめカンタービレ」のマスコット、マングースの着ぐるみや、作中に登場する架空のアニメ「プリごろ太」のキャラクターたちも登場し、作品の世界観を見事に再現。ピアノの演奏シーンでは、五線譜の上を軽やかに舞うカラフルな音符の映像も映しだされるなど、心踊る演出があちこちに。休憩を含み約3時間の上演となるが、体感はあっという間。クライマックスシーンでは会場のあちこちで、涙を流す人の姿も…。ドラマ、映画から続投し、「のだめカンタービレ」の世界観をおなじみの姿で“歌”という新しい要素をプラスして体現した上野、竹中と共に、歌声やダンスで彩る共演陣とのアンサンブルに注目したい。
取材・文/タナカシノブ