いちファンから監督へ!マイケル・チャベス監督が振り返る、“死霊館ユニバース”との10年
「ソウ」シリーズなどを手掛けたジェームズ・ワンがメガホンをとり、わずか2000万ドルの製作費ながら全世界興収3億ドルを超える大ヒットを記録した『死霊館』(13)。同作から幕を開けた「死霊館ユニバース」は、その後も「アナベル」シリーズなど拡大を続けながら、シリーズ8作品で全世界興収は20億ドルを突破。今年記念すべき10周年を迎えた。
その「死霊館ユニバース」の最新作にして、『死霊館 エンフィールド事件』(16)に登場した“シスター・ヴァラク”のルーツに迫った『死霊館のシスター』(18)の続編『死霊館のシスター 呪いの秘密』が10月13日(金)より日本公開を迎える。本作でメガホンをとったマイケル・チャベス監督は、ユニバースが誕生した10年前にはまだCMや短編作品のクリエイターとして活動しており、観客の立場で観た『死霊館』との出会いをいまも鮮明に覚えているという。
「あれはパサデナの映画館で、公開から数週間が経っていた昼間の上映でした。自分好みの作品だという直感はあったけれど、なぜかなかなか観に行くことができなかったんです。でも実際に観てみたら本当に最高で、昼間の上映でも観客の盛り上がりがすごかったこともあって、公開日の週末の夜に観ていたらさぞかし楽しかったのだろうと羨ましくなりました。後日、妻と2人でもう一度観に行って、一緒にテンションが上がったのをよく覚えている。このように感情を呼び覚ましてくれる映画を観られたことは、ホラー映画ファンとして本当に最高の体験でした」。
緻密で練り込まれたストーリーに、斬新なホラー表現で話題を集めた『死霊館』。チャベス監督は映像クリエイターとしても大きな刺激を受けることになったという。「こんなにすごいものを、自分には到底作ることはできない。そう感じて、自分のなかにあった“ToDoリスト”からホラー映画製作を外そうとまで考えました(笑)。でも幽霊屋敷を描くストーリーをやりたいとずっと思っていたので、思い切って『The Maiden』という短編映画を作ることにしました」。
もちろんそのインスピレーションの源は『死霊館』であり、撮影監督らスタッフには『死霊館』を参考にするように呼びかけたという。2016年に発表したその9分間の短編は、シュリークフェスト・ホラー映画祭の超短編映画部門で作品賞を受賞。それがきっかけでワンに見出され、ユニバース作品のひとつである『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』(19)の監督へと抜擢される。さらにユニバースの本線である「死霊館」シリーズの3作目『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(21)でも監督も務めることとなり、いまやユニバースに欠かすことのできないクリエイターとなった。
「『死霊館』はホラー映画製作者のみならず、ジャンルを超えて無数の映画製作者たちに多大な影響を与えていると思います。このユニバースに関われたことは、私の人生において子どもが生まれたことを除けばもっとも重要な出来事であり、身の引き締まるようなすばらしい経験。最高の映画ユニバースのひとつであり、間違いなく歴代最高のホラーユニバースの一端を担えているというだけで、いまでも感激しているぐらいです」。