Jホラーの巨匠・高橋洋と古澤健の師弟対談が実現!『オクス駅お化け』に注がれた高橋の恐ろしすぎる実体験とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
Jホラーの巨匠・高橋洋と古澤健の師弟対談が実現!『オクス駅お化け』に注がれた高橋の恐ろしすぎる実体験とは?

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Jホラーの巨匠・高橋洋と古澤健の師弟対談が実現!『オクス駅お化け』に注がれた高橋の恐ろしすぎる実体験とは?

日韓合作ホラー『オクス駅お化け』の初日舞台挨拶が10月6日に新宿ピカデリーで開催され、脚本を務めたJホラーの巨匠・高橋洋と、『オトシモノ』(06)などで知られる映画監督の古澤健が登壇。駅を舞台にしたホラー映画の裏側について、トークを繰り広げた。

『リング』(98)で脚本を手がけるなど“Jホラー映画ブーム”を牽引してきた高橋が脚本を担当して、世界中でヒットしたホラーウェブ漫画を実写映画化した本作。大都市ソウルに実在する地下鉄駅「オクス駅」を舞台に、バズらせることがすべての駆出しの記者が、ある人身事故の真相を追ううちに不気味な怪死が次々と起こり始める都市伝説ハイブリッドホラーで、監督は『人形霊』(05)などで知られるチョン・ヨンギが務めた。高橋と古澤は、映画美学校の講師と生徒という間柄だったそうで、この日は師弟対談が実現した形となった。

“Jホラー映画ブーム”を牽引してきた高橋洋
“Jホラー映画ブーム”を牽引してきた高橋洋

ウェブ漫画を原作に、構想9年を経て実写映画化された。脚本が完成するまでの成り立ちを聞かれた高橋は、「本作の冒頭で、ホームドアに首を挟まれてしまうというのは、ほぼ漫画の内容と同じ。ちなみにあそこで出演をして、首を挟まれてしまう人が原作者なんです。イケメンでね」と裏話を披露して会場も大笑い。「短い漫画を長尺のホラー映画にしてくれないかということで、最初は清水崇くんに監督のオファーが来たんです。そこで『脚本は誰にする』となって、僕のところにプロデューサーが話を持ってきて」と経緯を振り返りながら、「実際にソウルに行ってシナリオハンティングをしました。オクス駅はソウルに実在する駅なんですが、そこも見てまわって。『オクス駅という名前を使って、ここを舞台に撮影しても構わない』ということで、構想を始めました」と語る。

短編漫画を膨らませるにあたって、戦後の混乱期に新宿で起きた寿産院事件をモチーフに盛り込み、さらに自身の実体験も組み込んでいったという高橋。「山手線の新宿駅のプラットホームで、白いワンピースを着た女性が飛び込み自殺をするのを見てしまった。死ぬ直前に目が合ってしまった。20代のころですが、これは怖かったですね」と激白しつつ、「『僕が見てしまった飛び込み自殺をした女性は、一体何者だったんだろう』という妄想を(脚本に)取り入れようと思った」と回想。高橋は、人身事故に遭遇したのち「列車恐怖症になってしまった。いまだにそういうところがある」そうで、「ホームに電車が入ってくるのが怖い。一番ひどかった時期は、(電車に)吸い込まれそうな気持ちになってしまうので、柱につかまっていた。電車に乗る時にも、どうしてもホームと車両の隙間を見下ろしてしまう。女性が下からのぞいている気がしてしまう。そういったことも脚本に書いた」と身をもって体験した恐怖やトラウマも注ぎ込みながら、脚本を完成させた。

『オトシモノ』(06)などで知られる映画監督の古澤健
『オトシモノ』(06)などで知られる映画監督の古澤健

古澤監督による『オトシモノ』も、本作と同じく駅を舞台にしたホラー映画だ。古沢が「駅を舞台にしてホラーを描く難しさ」について質問すると、高橋は「駅は、大半の人が通過していく場所。そこでドラマを展開させていくことは難しい。駅のホームや電車を使っても、起こせる出来事に限りがある」とコメント。「オクス駅」という実在の駅を舞台にした映画を作った高橋は、さらに「日本では、こういうことはできない。しかも駅の実名を使って。ありえない」と、韓国だからこそできた撮影だと説明。古澤が『オトシモノ』を撮影をしたのは「北総線の千葉ニュータウンのほう」だといい、「協力的で、やらせてもらうことができました」と感謝しつつ、「まだホームドアがなかった時代。そういう意味では、出来事が起こしやすかった」と駅にホームドアが完備されていくにつれて、転落事故などホラー描写になりうる展開が描きにくくなっているとも話した。

【写真を見る】高橋洋&古澤健、師弟対談の様子
【写真を見る】高橋洋&古澤健、師弟対談の様子

また劇中に井戸が登場することから、本作を鑑賞した観客からは「『リング』のようだ」という感想もあがっている。高橋は「オクス駅を漢字で書くと、玉水駅書くんです。いい水が湧く地域で、井戸もある。オクス駅を建造する時に、埋め立てたそうです。それで使えるなと思ったら、(チョン・ヨンギ)監督もそこに『リング』を感じてやってくれた」とニヤリ。古澤は「監督さんは、Jホラーを好きで研究されているんだろうなと感じました。劇中で“傷がついているけれど、気づかない”という人が出てきましたが、そこは『CURE』のうじきつよしさんのシーンに似ているなと思いました。いろいろなところに(Jホラーの影響を感じるような)目配せがある」とJホラー好きが観ると、あらゆる発見ができる作品だと太鼓判を押す。


高橋のもとには、アジアを中心とした海外から、数多くの脚本オファーが舞い込んでいるとのこと。高橋は「いま、台湾でもJホラーを研究している人がいる。Netflixの『呪詛』などを作っている人たちが、日本と台湾合作でJホラーテイストのホラーを撮りたいと言っている」と動きだしている企画もある様子だが、高橋が脚本を担い、古澤がCGを担当した新作ホラー『PolarNight』も12月15日より公開となる。精力的にホラー映画を生みだし続けている高橋は、「清水崇くんの『ミンナのウタ』も力強い映画で怖かったし、白石晃士さんの『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』最新作も評判がいい。その勢いにのかっていけたらなと思っています」と笑顔を見せていた。

取材・文/成田おり枝

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