北野武監督最新作『首』をいち早く観た猛者たちの感想は?「狂った演技と首の血管が忘れられない」「奇跡のような作品」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
北野武監督最新作『首』をいち早く観た猛者たちの感想は?「狂った演技と首の血管が忘れられない」「奇跡のような作品」

コラム

北野武監督最新作『首』をいち早く観た猛者たちの感想は?「狂った演技と首の血管が忘れられない」「奇跡のような作品」

『アウトレイジ 最終章』(17)以来6年ぶりとなる北野武監督最新作『』(11月23日公開)。本作では業界初となる純度99.99%の純金1gが使用されたムビチケの「ムビチケGOLD」が発売され、お値段はなんと3万円(税別、送料込)だが、本作の最速試写会に招待されるというスペシャルな特典付きだった。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、この最速試写会にてアンケートを実施。誰よりも早く『首』を鑑賞した購入者たちの声をお届けする。

業界初の“純金”でできた「ムビチケGOLD」
業界初の“純金”でできた「ムビチケGOLD」

3万円と超高額のムビチケ!購入者たちのリアルな声は?

北野監督が『ソナチネ』(93)と同時期に構想し、30年もの間、温めてきたという本作は、歴史を揺るがした本能寺の変を、戦国武将や忍、芸人、百姓といった多彩な人物の野望や裏切りと共に描く話題作。北野監督自らが羽柴秀吉役を演じ、明智光秀役に西島秀俊、織田信長役に加瀬亮、黒田官兵衛役に浅野忠信、羽柴秀長役に大森南朋、秀吉に憧れる百姓の難波茂助役に中村獅童など、豪華キャストが集結した。

北野監督自らが羽柴秀吉役を演じる『首』。明智光秀役に監督の信頼が厚い西島秀俊
北野監督自らが羽柴秀吉役を演じる『首』。明智光秀役に監督の信頼が厚い西島秀俊[c]2023KADOKAWA [c]T.N GON Co.,Ltd

試写会でのアンケート結果が実に興味深い。まずは「ムビチケGOLD」を購入した理由について。「最速で北野作品を観たかったから」「作品を連想させる仕様だったから。試写会招待も購入理由の1つです」「純金という特別感。試写会に参加できる特別感。映画『首』への期待。長年のたけしファンなら購入は義務、のような気分もありました」と、試写会目当てだったという声が寄せられた。

一方で、「ムビチケGOLD」という試みに興味を持った人も多数おり、3万円と高価であるのにも関わらず、「興味本位」「気分」「記念として」「初めてのムビチケでの純金と、金の価値が上がっているからです」といった理由で購入した方もいた模様だ。

「あれだけ首の無い胴体がいっぱい出てくる映画は、ほかに無い」

「本作をご覧になった後の気分に一番近いものは?」という設問では、「衝撃的」との回答が最も多かった
「本作をご覧になった後の気分に一番近いものは?」という設問では、「衝撃的」との回答が最も多かった

「本作をご覧になった後の気分に一番近いものは?」という質問については、約40%が「衝撃的」、約20%が「予測不能」、約15%が「笑えた」と回答。特にタイトルである“首”にまつわる部分でコメントが印象的だった。

「武将のバカっぽいやり取りで、次々に首が飛んでいき、思いのほか重さがなかった」
「あれだけ首の無い胴体がいっぱい出てくる映画は、ほかに無いかなと」
「死や暴力が笑いのためのフリとして機能し、全編に笑いが散りばめられている。みんなが追い求める『首』ですら、ラストカットためのフリだった」

本能寺の変の舞台裏がいろいろな目線から描かれる
本能寺の変の舞台裏がいろいろな目線から描かれる[c]2023KADOKAWA [c]T.N GON Co.,Ltd

ほかにも北野監督の集大成であるとのコメントや、実力派ぞろいの役者陣をを称える声もあり、3万円のムビチケを購入するほどの猛者にも大満足な内容であったことが見て取れる。

「群像劇で誰を中心に観るかによって映画の感じ方が変わる。何度でも観れる映画だ。恋愛、コメディ、成り上がりもの、アクション、それらが入り混じり笑いでコーティングされている」
「もう誰が主役か分からない。そして、次々に起きる出来事に目が離せなかったです」
「芸人、俳優、作家、北野武(ビートたけし)のすべてを盛り込みながら、その中で俳優陣が楽しんでいる、奇跡のような作品」

クセ者ぞろいの登場人物たち!一番人気は誰?

【写真を見る】特に印象に残ったキャラクターはやっぱりこの人!
【写真を見る】特に印象に残ったキャラクターはやっぱりこの人!

印象に残った登場人物についてのアンケートも実施。北野映画らしい濃いキャラクターが勢ぞろいする本作だが、加瀬が演じる信長と、ビートたけし演じる秀吉が過半数を占める結果となった。信長については「『人間生まれた時からすぅ~~べて遊びだわ!!』信長が自分を肯定してくれる蘭丸に必死ですがっている時にこの台詞を思い出しました。自分のために言い聞かせて虚勢を張っていたのかなと思い、孤独でかわいそうだと思い、とても良かった。信長の狂った演技と首の血管が忘れられません」「加瀬亮さんの方言や暴力が映画に引き込まれました」「織田信長の第六天魔王ぶりが、これでもかってほど現れていて観ていてビクビクしました」とふりきった熱演を絶賛。

織田信長と明智光秀とのやりとりにご注目
織田信長と明智光秀とのやりとりにご注目[c]2023KADOKAWA [c]T.N GON Co.,Ltd

ほかのキャラクターについても、「秀吉が草履を全力で投げ捨てたところはあまりにも全力過ぎて爆笑してしまいそうになりました。頑張ってこらえました」「織田信長の名古屋弁?が強烈でした。中村獅童の小汚さが天下一品でした。大河に出演者している大森さんが、こんなに腹黒い役で驚きました。西島さんはどんな役でもかっこいい!武さんが武節全開で面白かったです。柴田理恵さんも笑ったなぁ」と様々な役者の名前も上がった。

北野監督ファンから愛あるコメントも!

過半数が北野武監督作品を観たことあるとの回答が!
過半数が北野武監督作品を観たことあるとの回答が!

今回の試写会の来場者のうち、「北野武監督作を観たことがある」と回答した人は約85%。その魅力について尋ねると熱いコメントが返ってきた。

「捉え方の面白さ。ユーモアも交えて深層を突いてくるところ」
「北野武監督作品は、人間というものを上手く描いているから好きです」
「暴力シーンも好きですが、たまにある静かなシーンが好きです」
「ずるさ、はかなさ、哀れさが描かれており、そして必ず北野作品にしか表現できない愛があります」
「日本のエンタメを支えているであろう層に忖度しない制作姿勢は爽快。北野組と呼ばれるくらい、同じ俳優を繰り返し起用していますが、その輪が作品を重ねるごとに広がっていくのがとてもすてき」

『首』は11月23日(祝・木)より公開
『首』は11月23日(祝・木)より公開[c]2023KADOKAWA [c]T.N GON Co.,Ltd


そのほかにも「たけしさんの目が好き。役者としてもそうかもしれませんが、たけしさんの持つ人間性と配役が一致していた様に感じました」「良い意味で歳を取られた監督が、可笑しいよな、と鼻をすすって笑ってらっしゃる姿が見えるようで幸せでした。歴戦の俳優陣が集い、独特の緊張感を味わわれながら、撮ったんだろうと想像します」「大画面でもう一度観ようと思います。北野監督、撮れる限りの映画を撮って下さい」という温かいファン目線のコメントからは、北野監督や北野映画への深い愛が感じられた。

公開まで1か月を切った本作。第76回カンヌ国際映画祭に正式出品され、各国の人々を熱狂させたことも記憶に新しいが、今度は日本の観客の心を大いに揺さぶってほしい。

文/山崎伸子

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