『ミステリと言う勿れ』が首位に返り咲き!視聴率ではない、“テレビドラマの映画化”が成功するカギとは
10月27日から10月29日までの全国映画動員ランキングが発表。前週『ONE PIECE FILM RED』(公開中)に首位を明け渡した菅田将暉主演の『ミステリと言う勿れ』(公開中)が、2週ぶりに首位に返り咲き。これで公開7週目にして6度目の1位獲得となる。
『ミステリと言う勿れ』が首位奪取!累計興収42億円に到達
『ミステリと言う勿れ』の週末3日間の動員は8万6000人、興行収入は1億1900万円を記録しており、累計成績では動員313万人、興収42億円。11月に入れば『ゴジラ-1.0』(11月3日公開)をはじめとしたビッグタイトルが続々と控えていることもあり、ここから大きく興収を上乗せするのは少々難しくなりそう。それでも、すでに見せつけている持続力を踏まえれば急激にランクを落とすこともイメージできず、まだいくらかの上積みはあると考えられる。
ここ10年で映画化された「月9」ドラマは9作品(「ガリレオ」と「コンフィデンスマンJP」は映画が複数本制作されている)。「HERO」のシーズン2は平均視聴率20%を超え、映画も興収46.7億円を記録。「信長協奏曲」も平均12.5%と決して高い数字を出したわけではないが、映画は興収46.1億円。そして極めつきは「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」で、シーズン3の平均視聴率が14.8%で映画は興収93億円というメガヒット。このように視聴率が良かった人気作が映画化され順当に大ヒットするという流れは、すでに過去のことだ。
それを良い意味で証明したのは「コンフィデンスマンJP」であり、ドラマの平均視聴率はわずか8.9%。それでも映画3作品はいずれも成功を収めている。その一方、「シャーロック」「ラジエーションハウス 〜放射線科の診断レポート〜」「イチケイのカラス」と、10%前後のまずまずの平均視聴率をあげながらも映画では弾けきれなかった例もある。「コンフィデンスマンJP」の2作目をはじめテレビドラマの劇場版が“2020年の救世主”となったことを踏まえれば、これらにコロナ禍の影響があったわけではないと判断できる。
2022年1月期に放送された「ミステリと言う勿れ」は、前クール(まさに「ラジエーションハウス」のシーズン2だ)と比較して上々な平均視聴率だったとはいえ、それでも11.8%。にもかかわらず、なぜ劇場版がここまでヒットしたのか。おそらく一番の要因は、単にスケールを大きく見せることではなく、ドラマ版では実現できなかった原作エピソードに改めて挑むという映画化あるいは続編化の意義/意味がはっきりと見えていたことにある。本作の大ヒットで今後もテレビドラマの映画化がコンスタントに作られるとなれば、なおさらこれまでとは異なる前提が必要となってくるだろう。