実は“MCU初”が盛りだくさん?3人のヒーローがチームを組んだ『マーベルズ』をネタバレなしでレビュー

コラム

実は“MCU初”が盛りだくさん?3人のヒーローがチームを組んだ『マーベルズ』をネタバレなしでレビュー

エンドクレジットのオマケ映像に登場するのは誰?今後のMCUへの期待高まる!

マーベルズ』がMCU内で独特である点も記しておこう。まず、肌の色も信条や信仰も異なる3人の女性が手を組むという設定。ダイバーシティ的共闘は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)のクライマックスの合戦でも描かれていたが、3人という限定人数で、しかも女性同士が、互いを深く理解し合ったうえで戦うのは今回が初めてだ。女性という点では今回はヒーローたちだけでなく、ヴィランのダー・ベンも女性であり、大筋に絡むキャラクターを女性で固めたことも劇場版のMCUでは初。これは現時点で2023年最大の全米興収を計上し、世界興収でもトップに立っているガーリー・ムービーの決定版『バービー』(23)とも歩調が一致する。すなわち、強い女性が時代を切り拓いていく時代にふさわしいエンタテインメントなのだ。

ひとりで戦うことの多かったキャプテン・マーベルが仲間と共に戦う!
ひとりで戦うことの多かったキャプテン・マーベルが仲間と共に戦う![c]Marvel Studios 2023

もちろん、MCUの今後の流れを占う点でもファンには見逃せない。対のバングルには、どんな秘密があるのか?ジャンプ・エリアの存在をここまで積極的に描いたMCU作品は珍しく、ひょっとしたらそれが今後の鍵になるのでは?新たなアベンジャーズの結成は、どうなるのか?…など、興味は尽きない。もちろん、MCU作品にはお約束のエンドクレジット時のオマケ映像では、アッと驚くヒーローとの今後の接点を匂わせている。こちらも見てのお楽しみだ。


 ミズ・マーベルの持つバングルをねらうダー・ベン
ミズ・マーベルの持つバングルをねらうダー・ベン[c]Marvel Studios 2023

MCU作品はいまや2時間超えが当たり前となっているが、本作の上映時間はなんと105分。これは劇場用のMCU作品では、最もコンパクトな尺だ。裏を返せば、それだけテンポのよい作品であるということ。監督のニア・ダコスタは『キャンディマン』(21)を手掛けて注目された女性監督で、本作ではユーモアとスリルを巧みに織り交ぜ、目の離せないドラマを演出。歌と踊りで会話をする惑星アラドナで「梨泰院クラス」のパク・ソジュン扮するヤン王子がキャロルと織り成すミュージカル調の会話劇は一見の価値ありだ。また、キャロル役のブリー・ラーソンをはじめ、おなじみの出演者も再結集しているが、新キャストであるダー・ベン役のゾウイ・アシュトンは、MCUではロキ役でおなじみのトム・ヒドルストンと婚約しているという裏ネタもある。時代を的確に捉え、反映して最高のエンタテインメントに昇華した『マーベルズ』。そこには、もうワクワクしかない!

文/相馬学

関連作品