シャネルが服飾以外の香水“No.5”を生んだ秘話
伝説のデザイナー、ココ・シャネルと、バレエ音楽で知られるロシアの作曲家イゴール・ストラヴィンスキーとのロマンスを描く『シャネル&ストラヴィンスキー』(1月16日公開)の主演女優アナ・ムグラリスがキャンペーンで来日。劇中のエピソードである、シャネルの香水No.5の誕生秘話について語ってくれた。
さすがは、シャネルの現デザイナー、カール・ラガーフェルドのミューズだけあって、劇中の彼女も、目の前にいる彼女も気品ある着こなしにうっとり! そんな彼女だからこそ、No.5が完成する瞬間を表現できたことはとても感慨深かったと言う。
本作でのシャネルは、すでにファッションデザイナーとして富と名声を手にした後の物語。彼女はなぜ香水を手がけようとしたのか、それには理由があったとアナは語る。「いくら革命的なファッションを発表しても服は着る人の体型を選ぶから、すべての女性に向けてのものではなかった。でも、香水はどんな女性にもつけてもらえる。だから、シャネルの知名度をより一層強固なものにしたの」。
さらにアナは、シャネルが香りにこだわった理由をこう分析する。「シャネルは、当時身近にいた人たち(最愛の恋人、アーサー・ボーイ・カペルなど)を失って、悲しみに打ちひしがれていたの。そこで彼女は気付いた。人はいなくなってしまうけど、香りなら残せると。彼女が深い悲しみから脱するための重要なアイテムが、香りだったのではないかしら」。
映画ではNo.5誕生の裏で、ストラヴィンスキーとの秘められた愛も綴られていく。「面白かったのは、ストラヴィンスキーが『春の祭典』を産み出す過程と、シャネルの香水No.5が作られていく過程とが並行して表現されているところよ。だから、No.5を作る上で、トラヴィンスキーの音楽がすごく影響を与えたんじゃないかと思うの」。
ふたりは不倫関係にあったが、アナはシャネルの生き方に共感したと言う。「当時絶対的な男社会の中で、シャネルはアナーキーな女性だったけど、自分自身が行きたい方向性を貫いたのはすごいことよ」。
凛としたアナの真っすぐな目線が、劇中のシャネルと重なる。ココ・シャネルの映画といえば、シャーリー・マクレーン主演作『ココ・シャネル』(09)、オドレイ・トトゥ主演作『ココ・アヴァン・シャネル』(09)、そして本作と3本続くが、それぞれに個性や見所が違って興味深い。本作ではアナの格調高い着こなしに加え、ロマンスとNo.5誕生の密接な関係を堪能したい。【Movie Walker/山崎伸子】