映画『デデデデ』でW主演!幾田りら&あの、初共演前から惹かれていた互いの魅力とは「すごく正解を叩き出す人」
実写映画化もされた「ソラニン」「うみべの女の子」、累計発行部数300万部超の「おやすみプンプン」など、世に数々の話題作を発表し続けている漫画家、浅野いにお。そんな彼が、2014年より「週刊スピリッツ」にて連載を開始し、2023年2月に堂々完結したSFコミックス「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(通称:デデデデ)」が、浅野いにお作品として初のアニメ化決定。今夏には前後編2章立てで劇場公開されることが明らかになり、大きな話題をさらった。
本作の舞台は、突如“侵略者”と呼ばれる存在に脅かされることになった世界。変化した日常の中でも青春を謳歌している小山門出や中川凰蘭ら女子高生たちを中心に、物語が繰り広げられていく。監督を務めるのは、「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの演出を担当した黒川智之。シリーズ構成・脚本に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズの吉田玲子、キャラクターデザイン・総作画監督に『夜は短し歩けよ乙女』(17)の伊東伸高と、名だたるスタッフ陣が集結している。
声優陣は、仲良し女子高生グループの栗原キホ役を種崎敦美、出元亜衣役を島袋美由利が務めるほか、門出が想いを寄せる高校教師の渡良瀬役に坂泰斗、門出の父、小山ノブオ役に津田健次郎など、主役級の声優たちが脇を固める。そして主人公の一人、門出を演じるのは、音楽ユニットYOASOBIのボーカルikuraとしても活躍し、シンガーソングライターとして活動する幾田りら。さらにもう一人の主人公、おんたんこと凰蘭を演じるのは、アーティストとしてだけでなくTVやCMでも引っ張りだこな、あの。
今回は、そんなキャスト2人にインタビューを実施。作品やキャラクターの魅力についてはもちろん、アーティストとして活動する2人が、声の芝居に挑むにあたり、なにを意識し、なにを感じたのか。まっすぐな言葉で語られた、2人の想いをお届けする。
「非現実的な世界と現実的な日常のギャップがおもしろい」(幾田)
――原作「デデデデ」を読んだ時の印象からお聞かせください。
あの「ぼくは最初、ただの読者として楽しみながら読んだんですね。残酷な物語が、ほのぼのとしたステキな絵で淡々と描かれていく様が心にずしっとくるな…という印象を受けました。平凡な生活の中で非日常的な出来事が起こるという展開は漫画ならではだけど、意外と自分たちの生活でも起こりえるなって。近年いろいろと世界が変わっていく姿を見ていると、いまは普通に生活しているけど明日はどうなるかわからないじゃないですか。それを含めて、かなりリアルな作品だと感じました」
幾田りら(以下、幾田)「あのちゃんと同じで、私も門出を演じると思いながら読んだのではなく、いち読者として楽しみました。ある日突然、空飛ぶ円盤が東京にやってきて、世界が大きく変化したにもかかわらず、そこで生活している門出やおんたん(凰蘭)も何気ない日常を送っている。非現実的な世界と、現実的な日常のギャップがすごくおもしろいと感じました。そして、そんな日常を送っているどこにでもいそうな高校生の2人が、世界を一瞬で変えてしまう鍵を握っている。そこにすごく惹かれました」
――そんな本作のキャストのオファーが来た時の心境はいかがでしたか?
あの「うれしかったです。こんなに愛されている作品、ぼく自身もすごく好きな世界観の物語で生きる中川凰蘭ちゃんを演じられるというのは、すごくプレッシャーを感じつつ、とても楽しみでドキドキでした」
幾田「私も素直にうれしかったです。約8年間の連載を終えて完結し、たくさんの方に愛されている作品なので、緊張感を感じながらも『この世界でしっかりと門出として生きよう』という気持ちで臨みました」
「門出もおんたんも愛おしいキャラクター」(あの)
――お2人が演じる小山門出と中川凰蘭はどういうキャラクターだと思いますか?まずは門出から教えてください。
幾田「『報われてほしい』と思ってしまう人ですね。自分が読者として感じたのは、まじめでクールな一面があるけど、発する言葉すべてがコミカルでかわいらしい。どこかいろんなことをあきらめているけど、その中に少しの希望を持っている人だと思うんです。周囲の環境を含めていろんなことを抱えているなかで、おんたんの存在をきっかけに前向きな性格へと変化していく。その姿を見ていると応援したくなる気持ちが湧いてきます」
あの「愛してしまうキャラクターだと思います。門出の発する言葉ってフィルターが1枚かかっているから、表面上に本当の感情が現われなくて、意図を汲むのが難しいんですよね。だけどおんたんには、門出の本当の感情が見えている。おんたんより門出のほうが大人びているように感じるけど、実はおんたんは門出の弱いところが見えているという、お互いの絶対的な関係性がすごくいいなと思います」
――一方、おんたんについてはいかがでしょうか。
あの「普段はテンションが高かったり、感情の起伏が激しかったり、ヘンテコなことばかり言っていたりするけど、それは何枚もキャラクターのフィルターを重ねているからで。内側には揺るがない強い意志を持っているんですよね。自分もちょっと共感しましたし、愛おしいキャラクターだなと思いました。実際に読者の方たちにもすごく愛されているキャラクターだからこそ、すごくプレッシャーもありましたね」
幾田「あのちゃんが言うように、おんたんはみんな大好きになってしまうと思います。いつもヘンテコで騒いでいるように見えるけど、ストーリーが進むにつれて、おんたんという人がどれだけできた人であるかがわかってくるんですよね。そこにすごくグッときます。自分の身の回りにおんたんみたいな人がいてほしいなと思いますし、誰もがそう感じる存在なんだろうなって」