亀梨和也が三池崇史監督と語り合った、これまでの道のりとこれからの覚悟。「やっぱり映画はやめられない」
「ファンの方がいるからこそ、暗い道のりでも進んでみようと思える」(亀梨)
――亀梨さんは今年、芸能活動25周年を迎えました。お仕事への向き合い方で変化してきたことはありますか。
亀梨「監督のおっしゃるように、僕も無我夢中で進んできたと思います。ただ年々、雑念が増えてきたようなところもあって。若いころのほうが、なんの雑念もなく、なぜこんなに自信を持って生きていられたんだろうと思うくらい(笑)。怖いもの知らずだったのかもしれません。10代や20代の半ばくらいまでは『お前、亀梨だろう』という洗脳で乗り越えられていたものが、出会いの幅が広がったり、経験が増えるごとに、だんだん自分の足りなさに気づいてきて。20代後半、30代前半はそういう想いが強く、僕にとって一番辛かった時期かもしれません。でも最近はそれが吹っ切れてきて、とても心地がいいんです。『足りないと思うのであれば、まだまだ自分にはやることがあるんだ。頑張る場所がたくさんあるんだ』と覚悟できたんだと思います」
――今年はインスタグラムやYouTubeを始めたりと、亀梨さんにとって変化の年になりそうです。
亀梨「少し前から、今年はそういう年にしたいなと感じていました。覚悟を持って進んだものは、とにかくやりきる。最近はそう思いながら、しっかりと自分に向き合い始めることができているような気がしています」
――40代に向けて、いい風が吹いているようです。三池監督は40代に入ってすぐに、『オーディション』や『殺し屋1』など観客に新鮮な驚きを与えるような衝撃作を生みだしています。40代をどのように過ごすといいと思われますか?
三池「亀梨さんは、自分らしくやっていく人だと思うので僕からのエールは必要ないかもしれませんが(笑)、やはり必要とされる人になることが大事なんだなと。『この企画だったとしたら、あの人がいいんじゃないか』と思ってもらえるようになると次の扉が開いていくし、そういう形でお互いが存在していけるといい。それは監督としてもそうですし、役者さんとしてはキャスティングされる存在として立っていなければいけない。運命が交われば、また一緒の扉を開けられるはずですし、お互いにいつか必要になる時がきっと来るはず。本作が、そういった希望が広がっていく扉のひとつになったらいいなと思っています」
亀梨「ものすごくありがたいお言葉です。本作の現場はもちろん、今回の旅を通しても、映画の現場にもっと触れたいなという想いが強くなりました。自分にとって力や時間を注いで挑んでいきたいもののひとつは、映画なのかなと。映画の現場もとても好きですし、完成した作品を観ても、スケール感を含め『こんなに贅沢なものはないな』と感じます。エンドロールでは各部署の方々の顔も浮かぶし、みんなで過ごしてきた時間や体感したこともすべてがひとつの形になるなんて、こんなに素敵なことはないですよね。これはやめられないなと。昨夜、三池監督とお食事をしていてカンヌ映画祭に行った時のお話を聞きながら、そういう場所に行けるようになりたいと憧れたり、本作を通してたくさんの刺激をいただいています。ここで感じた想いを、大切にしていきたいです」
――シッチェスでも、亀梨さんはファンの方からサインや写真撮影を求められていましたし、海外のファンの方と出会う機会にもなりました。
亀梨「僕もファンの方のことをすごく大切に思っていますし、ファンの方がいるからこそ、暗い道のりでも進んでみようと思える。僕の支えであり、エネルギーになっています。ただ、ファンの方が喜ぶことだけをしたり、ファンの方が求める自分だけでいようとも思わないタイプなので、そこはご了承いただきたいなと。僕は嘘をつくのがめちゃくちゃ下手ですし、生き方も下手くそで(笑)。僕がこのように進みたいという欲望が出てきた時は、きちんとそれを示したいと思っています。そうやっていくことで見られる景色を共有できる間柄でいられたら、とても幸せです」
取材・文/成田おり枝