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A24ホラー最大ヒット作を編集者らが本音レビュー!『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』の評価は?

コラム

A24ホラー最大ヒット作を編集者らが本音レビュー!『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』の評価は?

名だたる巨匠たちが絶賛!ホラー新時代を盛り上げる一本に

三浦「先ほど、山下さんから『A24が惚れ込んだ理由がわかる』という話がありましたけど、降霊術のシーンでも『こう展開したら嫌だな』という生理的な怖さをしっかり伝えてくるところにA24らしさを感じました。自分の見られたくない面を突きつけられるような…アリ・アスターほど粘着質ではなかったですが(笑)」

西川「アリ・アスターの映画はもっと内面にこもった感じで、まるで自己セラピーに付き合っているような印象を受けますけど、フィリッポウ兄弟はすごくあっけらかんとしてジメジメしていないし、もっと外に向けられていることがよくわかりますね。彼らがどんな映画を作ったとしても、安心して観られるものになる気がします」

怖さのなかにも、家族愛や友情などグッとくるドラマ性が込められている
怖さのなかにも、家族愛や友情などグッとくるドラマ性が込められている[c] 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia 

南里「フィリッポウ兄弟は、今後どんな監督になっていくと思いますか?」

西川「昔から映画の世界にはCMやMVから巨匠になった監督たちがいますよね。リドリー・スコットやデヴィッド・フィンチャーとか。その新しいかたちがYouTuberとなる、先駆けでしょうね。そのレベルの監督になってくれたら、最初の作品から追いかけている僕らもうれしいですし(笑)」

山下「実力があることは、この一本で間違いないと言えますからね」

西川「さっき名前があがった『ブギーマン』のロブ・サヴェッジはフィリッポウ兄弟と同じ1992年生まれだし、『SMILE/スマイル』のパーカー・フィンは1987年生まれ。若手世代からも、オーソドックスなホラー演出ができる監督がこの数年で現れてきたというのはおもしろい流れですよね」

三浦「先日フィリッポウ兄弟が来日した際に、サンダンス映画祭の後にジョーダン・ピールやアリ・アスターから連絡をもらったと言っていました。もう彼らに続く監督が出てきたというのは世代交代の早いホラー映画界らしいことですし、それだけいまホラーが盛り上がっていることの証明でもありますね」

西川「あとスティーヴン・キングやサム・ライミ、ピーター・ジャクソンのようなホラー界隈の重鎮的な人たちも褒めていたようですし、スティーブン・スピルバーグも絶賛したと。やっぱりスピルバーグはどんなジャンルでも新しい才能が出てくるのがうれしいんでしょうね」

続編『Talk 2 Me』に期待するものは?

YouTubeチャンネル「RackaRacka」で活躍するダニー&マイケル・フィリッポウ監督
YouTubeチャンネル「RackaRacka」で活躍するダニー&マイケル・フィリッポウ監督[c] 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia 

山下「フィリッポウ兄弟は続編の『Talk 2 Me』をA24製作で作る予定とのことですが、続編にはどんなことを期待しますか?」

西川「あの衝撃的なラストから直接繋がる、ストレートな続編もいいですし、別の視点から描くのもありだと思いますね。観ていない方はちんぷんかんぷんだと思いますが、例えば“病室の女の子”が誰だったのかなど、あえて語られていないところを深掘りしていく映画になるのではないでしょうか。あの“手”の秘密とか…」

南里「“手”の本当の持ち主は気になりますよね。劇中では降霊術師だったか悪魔関係の人だったかと話には出てきましたが。“手”の誕生を描く『ビギニング』もいいですね」

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は公開中!
『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は公開中![c] 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia 

山下「僕はミアと親友のジェイドが仲違いしてしまうのが心残りだったので、ジェイド側から描いた物語も観てみたいです」

南里「シスターフッドですね。泣かせるホラーになりそう…!」

三浦「『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』みたいに幽霊側の視点で描いていく、なんていうのもA24っぽくていいかもしれません」

西川「どんな視点にでも置き換えられるというのは、本作のアイデアが秀逸だからこそですね。続編にも期待していきましょう!」

取材・文/久保田和馬


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