シリーズ最新作『プレデター:ザ・プレイ』はコレクターズ・エディション版で観るのが至高!その理由を徹底解説
座談会や音声解説で知る、“リアルな”撮影舞台裏
本編の再生にあわせて裏話が語られる音声解説には、トラクテンバーグ監督や主演のミッドサンダー、撮影のジェフ・カッター、編集のアンジェラ・M・カタンザーロが参加した。本作の撮影はロケが中心。5日間もかかったという過酷な底なし沼の脱出シーン、天気待ちなど、ロケ撮影ならではの苦労話が盛りだくさん。リアルを求めて何気ないシーンに合成技術が用いられていたり、逆に存在感を出すために造形物にこだわるなど、端々に創意工夫が伺える。プレデターに追われたナルたちが背の高い草原に逃げ込むシーンは、ちょうどいい高さの草原がなかったため苗を植えて草原を作ったというエピソードにも驚いた。このほか、第1作へのオマージュがさりげなく挿入されていたり、プレデターの円形シールドの元ネタが人気ゲーム「GOD OF WAR」だったり、同じ20世紀スタジオ作品であるハリソン・フォード主演作『野性の呼び声』(20)の映像を、激流のシーンの一部に使用していたことも明かされる。ちなみに、冒頭に映し出される「20th CENTURY STUDIOS」のロゴを光学迷彩で消そうとしたらスタジオ側に拒否されたなど、楽しいトリビアも盛りだくさんだ。
一方、「スタッフ&キャストの座談会」では、トラクテンバーグ監督とミッドサンダー、撮影のカッター、編集のカタンザーロ、プロデューサーのマイヤーズにキャラクター造形や特殊効果を担当したアレック・ギリスらが特設ステージに登壇し、本作に対する想いを熱く語り合う様子が収められている。印象的なのが、原始的な武器を手に激突するプレデターと戦士たちのアクションのベースになったのが香港映画だったというエピソード。ジャッキー・チェンの大ファンだというトラクテンバーグ監督は、手や足のアップではなく引き画のワイドショットで全身の動きを見せることにこだわりアクションシーンを構成。手持ちカメラの移動撮影も手伝って映像に躍動感を与えていたという。フランスの毛皮商人と戦うシーンでは、ナルが相手の武器を器用に奪って戦うなど、メイキング映像でもジャッキーからの影響が紹介されていた。
本作がユニークなのは、「プレデター」としてシリーズ屈指の作品であると同時に、戦いを通して成長する先住民族の少女のドラマとしても高い完成度を誇っていること。劇中にプレデターという呼び名は出てこないため、脚本を読んだミッドサンダーは最初本作が「プレデター」だとは気づかなかったと語っている。はじめてそれを知った時には、プレッシャーから思わず泣いてしまったそうだが、王道ドラマや歴史劇ではなくジャンル映画として“正統派コマンチ映画”ができたことを歓迎している。
美しい自然描写を重視したスタッフは、主なロケ地にカナダの先住民族の土地やロッキー山脈に沿って広がる大平原グレートプレーンズをチョイス。撮影のカッターはデジタル加工を最小限に抑え、360度広がるありのままの自然をカメラに収めたという。険しい野山、襲いくる野生動物など危険と隣り合わせに生きる先住民族たちの日々を映し出した映像も本作のリアルを支えている。
プレデターの造形を監修したのは、SFXスタジオ、ADIのトム・ウッドラフJr.とギリス。彼らは助手時代にシリーズ第1作に参加しており、独立後は「エイリアンVS.プレデター」シリーズなど多くの作品で活躍しているベテランだ。本作では時代設定に合わせてデザインや仕組みを変えながらリアルなキャラクターや装備を制作。存在感にこだわった本作では、動物たちの死体など多くの造形物で真に迫る映像をサポートした。
力と力が激突するアクション・エンタテインメントとして人気の本シリーズ。目線を変えリアルな描写にこだわることで、あらたな魅力を生みだした『プレデター:ザ・プレイ』の真の魅力を体感するには、ぜひブルーレイ+DVDセット/4K UHD コレクターズ・エディションに収録された、充実のボーナス・コンテンツをチェックしてみてほしい。
文/神武団四郎
2枚組 2D ブルーレイ [本編、ボーナスコンテンツ]+DVD [本編]
12月22日(金)発売
価格:5,390円(税込)
発売・販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
[c] 2023 20th Century Studios.
■『プレデター:ザ・プレイ』4K UHD コレクターズ・エディション
2枚組 4K UHD [本編]+ブルーレイ [本編、ボーナスコンテンツ]
12月22日(金)発売
価格:7,590円(税込)
発売・販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
[c] 2023 20th Century Studios.