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「ワンダーハッチ」「ガンニバル」プロデューサーが語る、世界へ発信するためのクリエイティブ「日本の文化でしか語り得ない物語がある」

インタビュー

「ワンダーハッチ」「ガンニバル」プロデューサーが語る、世界へ発信するためのクリエイティブ「日本の文化でしか語り得ない物語がある」

「映画は誰も知らない物語で新鮮な驚き与え、観客を魅了してきた。そこに挑戦しないでどうするんだ?」

2つの世界が異なる手法で描かれ、それらが交錯するやや複雑な構成になったが、「最初はもっとシンプルな話だったんですけどね」と断ったうえでそこに対する熱い想いを語る。

ウーパナンタではアクタに憧れ、一人前のドラゴン乗りを目指すタイム
ウーパナンタではアクタに憧れ、一人前のドラゴン乗りを目指すタイム[c]2024 Disney

「配信やSNSの普及で、いまの子どもたちは古いとか新しいとか関係なく、いろいろなものを観られると思うんですよ。例えば、小学生も『鬼滅の刃』のような深いテーマのものも観て、けっこういろいろな知識を得ている気もするので、そんな彼らにシンプルな物語をそのままぶつけていいんだろうか?という不安があって。それよりも、ストーリーテリングの妙を感じてもらったほうが、子どもたちの満足度が高くなるんじゃないか?と思い、敢えていまの形に踏み切ったんです」。

その際には、ディズニーだからできたこと、ディズニーだから挑戦したこともあったのではないか?そう投げかけると、「オリジナルのストーリーで勝負する。それに尽きますね」ときっぱり。

ガフィンに乗って空を飛ぶタイムとナギ
ガフィンに乗って空を飛ぶタイムとナギ[c]2024 Disney

「ディズニーは基本的にオリジナルのストーリーを作ってきた。ディズニーに限らず、ピクサーもマーベルもそれぞれのオリジナルの物語を紡いできたし、それこそ昨年100周年を迎えたディズニーは、ウォルト(・ディズニー)のはてしないイマジネーションから始まっています。なので、我々ローカルコンテンツの制作チームもそのディズニーのDNAを受け継いで、想像力がテーマの『ワンダーハッチ』を通してその精神が伝えられればいいなと思っていました。映画はもともと、誰も知らないオリジナルの物語で新鮮な驚きを与え、観客を魅了してきた。そこに挑戦しないでどうするんだ?という想いもありましたね」。

「物語の世界をアクティブな状態で楽しみながら、作っていくことを心掛けたんです」

誰も知らないストーリーと新鮮な驚き。それを生みだすのは苦しくもあり、楽しくもあったと話し、「全8話のストーリーや構成を、萩原監督をはじめとした7人の制作チームで考える時に、帰納法ではなく、演繹法を採用したかったんです」と述懐する。

現実世界でアクタは人々の荒んだ心に絶望し、大切な人だけを守ろうとする
現実世界でアクタは人々の荒んだ心に絶望し、大切な人だけを守ろうとする[c]2024 Disney


「チームでは大江(崇允)さん、藤沢(真友香)さんが世界観を深めていく作業をしてくれました。そして川原(杏奈)さん、伊藤(整)プロデューサーも加わり、でっかいテレビモニターに脚本やプロットを映して、それをみんなで感情を込めて読み上げていく方式を取ったんです。そうすると、『ここで、こんな行動をするかな?』とか『この展開、どこかで見たことありますね』といった疑問や問題点が浮き上がってくる。あるいは、ナギが暮らす“現実世界”の舞台を神奈川県の横須賀にしてはどうかと僕が提案して、シナハン(シナリオハンティング。シナリオや脚本を書くために綿密な事前取材や調査を行うこと)に行き猿島の存在を初めて知りました。みんなで猿島を登場させようと話が弾んで。そんな感じで、物語の世界を演繹的にアクティブな状態で楽しみながら、作っていくことを心掛けました」。

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