松村北斗、上白石萌音と「カムカム」以来の再共演!『夜明けのすべて』は「生きるのが少し楽になる映画」
松村北斗と上白石萌音がダブル主演を務める映画『夜明けのすべて』(2月9日公開)のプレミアナイトイベントが1月11日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、松村と上白石をはじめ、光石研、三宅唱監督が登壇した。
「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を『ケイコ 目を澄ませて』(22)を手掛けた三宅監督が映画化した本作。パニック障害を抱え無気力に毎日を過ごしている山添くん(松村)と、月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石)が交流し、少しずつお互いの殻を溶かし合っていく姿を描く。松村は「生きるのが少し楽になる、そんな作品になっています」と完成作を紹介。上白石は「撮影をしていた時から『私、この映画が大好きだな』とずっと思っていました。手前味噌なんですが、いまもその気持ちがどんどん大きくなっているところです」と愛情をあふれさせていた。
NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村と上白石が、映画としては初共演を果たした。共演を重ねて感じたお互いの俳優としての魅力について聞かれると、松村は「ひとつぐらいに絞ったほうがいいですよね?」とにっこり。上白石は「全然(複数出ても)いいですよ」とお茶目に背中を押し、松村が「いいですか?たぶん時間がたりないと思います」と続くなど、息ぴったりのやり取りを見せて、会場も大笑い。松村は「瞬発力や感情を爆発させる力もありますが、その場に馴染む力があって。この映画って、なにが主人公といったら“街”なんじゃないかと思うような映画で。だからその街にどれだけ違和感がないか、というのが大事なのかなと思うんです。初日のワンシーン目から、15分くらいかけて家から会社まで歩いてきたのかなと思うようなたたずまいと、声の使い方、しゃべり方をされる。そこの感覚はすごい鋭い。追随を許さない」と大絶賛。
「ちょっといじっていますよね?」と笑った上白石は、「松村先生」と呼びながら「他の追随を許さない、役に溶け込むのが本当に早い方」と松村の言葉を引き合いに出して、再び会場と松村も笑顔。2人のトークに会場、そして光石や三宅監督の緊張もほぐれていい空気が出来上がるなか、上白石は「ワンシーン目から、その(役の)人としていらっしゃる。いつも引っ張っていただいています」と松村に感謝していた。
三宅監督が誰よりも楽しむことで、温かな撮影現場となっていた様子。上白石は「初日のワンシーン目を撮り終わった瞬間に、監督が『撮り終わっちゃって寂しい!』とおっしゃっていた。私たちがびっくりして『もう寂しいんですか』と聞いたら、『映画を撮るのって楽しくない?』と言っていて。そうやって楽しさで連れて行って下さる感じだった」と振り返ると、三宅監督は「恥ずかしいな。楽しませてもらいました」と照れ笑い。松村も「僕らにも『いまの違和感あるかもしれないけど、どう思う?』と聞いたりしてくれた。スタッフさんの意見も採用していたり、『みんなで作ったんだ、自分は端っこにいる人間じゃないんだ』と全員に思わせてくれる」と三宅監督の現場作りに魅了されていた。
またこの日は、様々な境遇の人が集まる会社が登場することから、「もし会社に勤めていたら、どんな社員になっていたか」というお題をもとにトークを展開するひと幕も。松村は光石がリーダーになると予想し「社長〜」と声をかけ、光石が「僕はリーダーシップとかないんですよ。役で社長なだけ」と苦笑い。松村は自身について「ギリギリ遅刻してくるヤツ」だと会社内のポジションを妄想し、「約束の時間通りに行くの、意外と苦手なんです。『もういいって、アイツ』と思われながら、肩身の狭い思いをしている(タイプ)」と語った。
一方の上白石は「意思決定ができないので、私が社長になったら破綻します」とキッパリ。周囲から笑い声があがるなか、「決めきれずに、全部に『できます!やります!間に合います!』と言ってみんなに嫌われる」と“もしも”の世界を広げ、これには松村も「そのマネージメントは結構厄介ですね」とコメント。誰もが問題のある社員になってしまいそうだと話したが、上白石は劇中に登場する会社は「全員がしっかりと自分の役割を持って、個性を尊重するすばらしい会社。原作者の瀬尾先生が『(劇中の会社)栗田科学ってこの世にはないかもしれないと思っていたけれど、三宅さんの現場が栗田科学のようでした』とおっしゃっていたのが印象的。そういう場って、この世にはいっぱいあるんだろうなと思う」と希望を感じられる現場だったと話していた。
取材・文/成田おり枝