ファン&初心者が『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』をネタバレ全開で語り合う!「20年という時間を越えて、また会えた喜び」
「『言葉に出さなかったからうまく伝わらない』みたいな部分は、当時から追ってきている世代に刺さるのかもしれない」(石井)
石井「僕の感想を言うと、『SEED』と『DESTINY』で描ききれなかったキラとラクスの話に言及することで、2人の関係性を含めて語りきれなかった部分がちゃんと補完されたなという感じがしましたね。『DESTINY』では物語を締める役割をキラが担っていたと思うんですが、大きい戦いの後のキラ個人の悩みとか葛藤は描かれきれてなかった。
さらに、ラクスとの関係も掘り下げる余地があったけど、そこも『DESTINY』では描けなかったので、キラとラクスの話をちゃんと語るには、もう1本お話が必要だったんだなと。そうした考えがあって、今回の『FREEDOM』でちゃんと描くことができたのかなと思います。そういう意味では、『ガンダムSEED』三部作の完結編みたいなポジションとして相応しい流れが『FREEDOM』にはあったのかなと思いますね」
南里「“愛”って言葉が強く出ているんですが、キラとラクスの“絆”を描きたかったのかなと思うんです。キラとラクスは信頼関係が強くて、阿吽の呼吸が伝わるというか。2人とも互いを理解しているから、いざこざも起きなさそうだと思っていたのが、実はそうではなくて。想ったり、信じていたりするだけではなくて、言葉にすることの大切さを改めてこの作品から学んだ気がします」
石井「当時中高生で『ガンダムSEED』を見ていたファンが、20年近く経って年齢的には30代とかになると、結婚とか家庭を持つことが現実的な問題になる世代になっていると思うんです。だから、キラとラクスの『言葉に出さなかったからうまく伝わらない』みたいな部分は、当時から追ってきている世代には刺さるのかもしれないですね」
山岸「『SEED』の前半のころのキラは悩んだりしていましたけど、後半では人類の最高傑作のコーディネイターなんて言われるポジションになっていたので、『DESTINY』の頃には悩んだりしなくなっているのかなと思っていたんです。でも、意外とキラの弱いところがあって、男女関係でちょっと嫉妬したりヤキモチを焼いたりするんだという、人間味を見ることができたのはよかったです」
山下「僕も同じことを思っていました。だから、キラがアスランに殴られるシーンが印象的で。冒頭からキラはクールで冷静な判断をするタイプなのかと思っていたら、あそこでものすごく取り乱して。その人間っぽさはすごく印象的でしたね」
石井「あそこは、福田監督の言いたいことがいろいろと入っているのかなとも取れますね。ある種のメッセージ性というか。それこそ、若い世代の人たちに対して、仕事の仕方とか物の考え方とか、色々と『もうちょっと広い視野を持て』ということを、アスランのセリフを借りて言っているようにも感じられるんですよね」
南里「それを意識してもう1回観たいですね。SEED世代の人たちはいろいろと頑張らなければならない年齢になっていますから」
「アスランは出て来た瞬間から非の打ち所のないかっこいいイメージだったんですが…」(山下)
石井「一方で、シリーズを観ていたファンからすると『それ、アスランが言うの?』というツッコミもありましたね」
山岸「そうですよね。前作『DESTINY』で戦況を混乱させ続けた要因の一つは、アスランと言っても良いぐらいですからね」
山下「そうなんですか?アスランは出て来た瞬間から非の打ち所のないかっこいいイメージだったんですが…」
石井「『FREEDOM』で出来上がって、いい男になったんですよ」
南里「アスランはいろいろ所属を変えてきましたよね。毎回悩んで自分の正しいと思う道を模索していました。シンなんかはその影響をモロに受けているんじゃないかな。それもあって、シンはいまだにアスランに対してはちょっと反発している感じがありましたね(笑)」
山岸「セリフで『前回負けたのは、ジャスティスに乗っていたからだ』という風にとれるところもありましたね。『今度はデスティニーに乗ったら俺は無敵だ』みたいな」
石井「シンはイモータルジャスティスをキラから任されていたのは光栄な反面、『でも、ジャスティスってアスランの機体じゃん』というところが絶対にありますよね(笑)」
南里「それはあると思います。セリフの一つ一つがおもしろいですよね(笑)」
山下「すごい情報量の多い作品でしたが、皆さんセリフの一つ一つまでしっかり読み取っているのですね。僕も2回目を観る時は、『SEED』と『DESTINY』を履修したうえで望みたいと思いました」