手に汗握る韓国スリラー「殺し屋たちの店」で、イ・ドンウクのクール&ミステリアスな魅力が爆発!
ジンマンのミステリアスなたたずまいからのぞく人間味がたまらない!
甘いマスクで御曹司役から、死神や九尾狐といった人間離れしたキャラクターに、サイコなキャラクター、そして二枚目半な男まで多彩なキャラクターに挑み、演技の幅も広げてきたイ・ドンウク。イケメン俳優と言われてきた彼も40代、文字通りイケオジ世代となって挑んだのが、「殺し屋たちの店」だ。オープニングでは大学生になったばかりの姪ジアンからうざがられる叔父のジンマンという役どころで登場。そんな彼が自殺したと警察から知らされたジアンは、両親を亡くして以来、唯一の肉親で親代わりだったジンマンの自殺が信じられず、幼なじみのジョンミンの助けを借りて真相を探るなかで、叔父が殺し屋御用達のオンライン兵器販売サイトを運営していたことが判明。そうこうするうちに、のどかな田園地帯にポツンと建つ叔父の家を謎の殺し屋集団が取り囲み、銃を搭載した何台ものドローンや四足歩行の殺人ロボットによる容赦ない攻撃が始まる。絶体絶命の危機に陥ったジアンは叔父から教えられた様々なサバイバル術を駆使し、敵に立ち向かっていく…。
物語はジンマン亡きあと、ジアンが殺し屋集団を相手に殺るか殺られるかの攻防戦を繰り広げる一方で、幼いジアンとジンマンが暮らすようになってからの10年間の過去を遡りながら、謎に包まれていたジンマンの真実の姿が少しずつ明らかになっていく。ミステリアスな役どころが得意なイ・ドンウクだけに、寡黙で素っ気ない素振りは裏に何があるのかと期待せずにはいられない。冷静沈着にしてタダ者ではないというオーラを放つ一方、ふと見せる憂いを帯びた眼差しなどとても細やかな演技から見える人間味が素敵だ。
そんなドンウクといい相性(ケミ)を見せるのが、姪のジアンを演じるキム・ヘジュン。Kゾンビ時代劇「キングダム」で冷酷で強欲な王妃役、「コネクト」や「調査官ク・ギョンイ」ではサイコキラーを演じてきたが、本作では叔父の死の悲しみも癒えぬうちに生死を賭けた壮絶な闘いの中に投げこまれ、戸惑いながらも乗り越えて行くヒロインを等身大に演じて共感を呼んでいる。また、ジアンの幼い頃を演じている子役ア・セビンが上手い! 本作の原作者であるカン・ジヨンの同名ドラマ「殺人者の買い物リスト」などで活躍する名子役だが、本作ではイ・ドンウク相手に健気な少女を演じて泣かせる。ロマンス俳優ドンウクの素敵な叔父さんぶりを見事に引き出している。激しい銃撃シーンもふんだんに描かれる謎多きミステリーアクション「殺し屋たちの店」でイ・ドンウクの新しい魅力をたっぷりと楽しんでほしい。
文/前田かおり