戦国の世のサバイバルゲームが、ついに開幕!真田広之「SHOGUN 将軍」初回&第2話をネタバレありでレビュー
並々ならぬ想いで臨む真田広之や「ワイルド・スピード」俳優が出演
最後に、俳優についても少し触れておきたい。なにより語っておかねばならないのは、虎永役の真田広之。彼は本作ではプロデューサーを兼任しているが、『ラスト サムライ』(03)以後ハリウッド映画にも頻繁に出演。日本の正しい描写を心掛けているというその姿勢は日本の視聴者として心強い。真田が演じた虎永にはカリスマ性に加えて、知らなかったことを貪欲に吸収する学習意欲と、状況を的確に把握して策を練る知略を持っている。視聴する身としては、この2話だけで、虎永に魅了され、応援したくなるだろう。
「困難ないまの時代だからこそ、戦乱の世に不屈の精神で平和な世を築こうとした虎永のような人物像が求められているのではないかと感じた」と、真田は語る。2024年の日本で、本作を観ることは、そういう意味でも意義深い。私見だが、裏金問題で政界は乱れており、五人衆と呼ばれる告発された政治家たちが五大老と重なっているようにも思えた。あいにく、現代の五人衆には虎永のような存在はいないようだが。
虎永の配下である策士、藪重に扮した浅野もハリウッド作品の経験は豊富。虎永に忠誠を誓ってはいるが、小賢しい部分もあり、なんともいえないエグみを醸しだす。今後のキーパーソンになるはずなので、この先も注目したい。また、鞠子役のサワイは『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(20)に出演した女優兼ダンサー。本作では決して笑みを漏らさないガードの堅さで、戦国の世を生き抜こうとする女性になりきった。
そして、虎永と並ぶもう1人の主人公、按針を演じた米国人俳優ジャーヴィスは、異文化の中でのサバイバルを熱演してみせる。按針と鞠子は、この後に惹かれ合う仲となると思われる。つまり最初の2話で提示された駆け引きのサスペンスに、今後は厳しいしきたりの中での禁断のラブストーリーが絡んでくるはず。この先が、ますます楽しみになる。
文/有馬楽