【第96回アカデミー賞】脚本賞は『落下の解剖学』が受賞!フランス映画57年ぶりの快挙を達成
現在ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催されている第96回アカデミー賞の授賞式で、作品賞や監督賞など5部門にノミネートされているジュスティーヌ・トリエ監督の『落下の解剖学』(公開中)が脚本賞を受賞した。
第76回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得した本作は、人里離れた雪山の山荘で起きた転落死をめぐって繰り広げられるヒューマンサスペンス。視覚障害を持つ11歳のダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)は、父が血を流して倒れているのを発見。当初は事故と思われていたが、不審点が多いことから被害者の妻で作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人の容疑が向けらるように…。無実を訴えるサンドラだったが、裁判の過程で次々と嘘や秘密があらわになっていく。
脚本を手掛けたのは、これが長編監督4作目で監督賞にもノミネートされているトリエ監督と、『ONODA 一万夜を越えて』(21)などで監督を務めたアルチュール・アラリ。ゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞、そしてフランスのアカデミー賞として知られるセザール賞でも脚本賞を受賞している2人は、共にオスカー初ノミネートにして初受賞。
トリエ監督はオスカー像を受け取ると「この受賞は私にとって大いなる救いになります」と語り、本作がロックダウン中に生まれた作品であることを振り返る。同じくアラリは「私たちはみな平等な関係で、独立して自由を与えられたから制作できた映画です」と喜びのスピーチを披露。主演女優賞にノミネートされたザンドラ・ヒュラーらへ熱烈な感謝を伝えていた。
なお、フランス映画が脚本賞で受賞を果たすのは第29回の『赤い風船』(56)、第39回の『男と女』(66)以来57年ぶり。英語を主言語としない作品の受賞は第92回の『パラサイト 半地下の家族』(19)以来4年ぶりとなる。
文/久保田 和馬