『青春18×2 君へと続く道』『言えない秘密』心に響く青春ラブストーリーが示す日本×台湾の爽やかな親和性
東京国際映画祭で台湾映画特集「台湾電影ルネッサンス」が組まれたり、昨年はリアル&オンライン一体型台湾映像フェス「TAIWAN MOVIE WEEK」が日本で初開催されるなど、ここ数年、日本映画界でも存在感を増している台湾。そんななか2024年上半期には『余命10年』(22)がスマッシュヒットした藤井道人監督による日本×台湾合作映画『青春18×2 君へと続く道』(公開中)や、台湾映画をリメイクしたラブストーリー『言えない秘密』(6月28日公開)も控えている。ということで今回は日本×台湾の抜群の相性を感じさせる良質の青春ラブストーリーを紹介したい。
台湾で話題の紀行エッセイを映画化!…『青春18×2 君へと続く道』
『青春18×2 君へと続く道』は、台湾で暮らす36歳のジミー(シュー・グァンハン)が高校生の頃に想いを寄せた4歳年上の日本女性アミ(清原果耶)と交わした約束を果たすため、彼女の故郷へと向かう青春ロードムービー。台湾で話題となった紀行エッセイ「青春 18×2 日本慢車流浪記」を原作に、台湾と日本の国境を越えた淡い初恋の記憶が紐解かれる。
自ら立ち上げた会社の経営から締め出されてしまったジミーは、最後までアミへの想いを告げられなかった後悔を抱えながら、バックパッカーだった彼女がたどってきた道を遡っていく。通過儀礼と呼ぶには切ない道行きではあるものの、旅での思わぬ出会いを経て成長していくなかで透明感を増していく“一生ものの恋”が爽やかに胸を満たす感動作だ。
ウォン・カーウァイ、アン・リー、ホウ・シャオシェン、キム・ギドク、ジョン・ウーらアジアの名匠たちに愛され、『DUNE/ デューン 砂の惑星』(21)にも出演する国際派俳優のチャン・チェンがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、台湾にルーツを持つという藤井監督が、20代より熱望していた台湾での映画制作を実現させた。
藤井監督の初の国際プロジェクトとなる本作では、2つの国で行われる「ランタンフェスティバル」やジミーが日本を旅するなかで生まれる素敵な出会いなど、台湾と日本の絆を感じさせるシーンが各所で登場。かねてより持っていた「文化や言葉を越えて映画と繋がりたい」という想いを今回の制作を通じて叶えた監督は、「僕にとっての監督人生第二章のはじまりであると自負出来る作品」になったと語っている。
また、台湾吹替版『君たちはどう生きるか』でアオサギの声を担当しているグァンハンが藤原監督のたっての希望で18歳と36歳の2つの年代のジミーを熱演。その見事な演じ分けにも注目してほしい!
台湾の映画賞三冠のラブストーリーをリメイク!…『言えない秘密』
そして『言えない秘密』はクラシカルな雰囲気漂うちょっぴりミステリアスなラブストーリー。原作となるのは台湾出身の俳優ジェイ・チュウの初監督&主演作で、台湾のアカデミー賞といわれる金馬奨で最優秀台湾映画賞、主題歌賞、視覚効果賞の三冠に輝いた同名台湾映画だ。
トラウマによってピアノを思うように弾けなくなった音大生の湊人(京本大我)は、それまで耳にしたことのないピアノのメロディに導かれ、取り壊しが決まっている旧講義棟のピアノ室で雪乃(古川琴音)と運命的な出会いを果たす。天真爛漫ながら素性を明かさない雪乃に興味を掻き立てられつつ、ピアノを通じて惹かれ合う2人の数奇な運命にハラハラさせられる。