妙な間取り、不気味な立地、罠だらけの家…映画に登場する“いわくつき物件”をまとめてみた!
白い仮面を被った謎の人物、雨穴(うけつ)による再生回数1700万回を超えるYouTube動画を映画化した『変な家』(公開中)。どこか違和感を覚えさせる、ある間取り図をきっかけとした不動産ミステリーが繰り広げられる本作だが、その主役とも言えるのがなにかが“変”な一軒家だ。
生活に欠かせない家は、様々なジャンルの作品で必ずと言っていいほど登場してきたが、そのなかにはどこか不気味なオーラを放つものも数知れず…。そんな映画に登場する“ヤバい”家を集めてみた。
無意味な空間、独房のような子ども部屋…『変な家』
間取りを注意深く見ることで浮かび上がってくる違和感と、そこから徐々に明らかになる真実が描かれていく『変な家』。“雨男”の名前で活躍するオカルト系動画クリエイターの雨宮(間宮祥太朗)は、マネージャーから引っ越し予定の一軒家の間取りが変だと相談を受ける。そこで知り合いのミステリー好きな変人設計士、栗原(佐藤二朗)に意見を聞いてみると、次々と浮かび上がる不可解な点に栗原はある恐ろしい仮説を導きだす。
そんな矢先、変な家のすぐ近くで死体遺棄事件が発生。家と事件との関連性を疑った雨宮は、家の秘密を探るべく、さらなる暗部へと足を踏み入れてしまう。
台所の壁裏にある謎の空間。窓がなく、二重扉でトイレ付きというまるで独房のような子ども部屋。異常なほど窓が多い建物にもかかわらず窓のない浴室。1階と2階の間取り図を重ねて見えてくるものとは…、そして不気味な家に隠された秘密とは…?
立地も中も気持ち悪い…『クリーピー 偽りの隣人』
『クリーピー 偽りの隣人』(16)もまた、「なにかがおかしい…」という隣人への違和感の理由が徐々に明らかになり、気づけば闇に引き込まれていく不気味な1作だ。
元刑事で犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが核心にたどり着けずにいた。そんななか、新居に引っ越した高倉と妻の康子(竹内結子)は、妙な雰囲気の隣人、西野一家に違和感を覚える。するとある日、西野の娘から西野(香川照之)が父親ではなくまったくの他人だと打ち明けられる。驚きを隠せない高倉だったが、奇妙な隣人が一家失踪事件とつながっていることに気づき…。
奇妙な言動を繰り返す隣人の気味の悪さが不穏な雰囲気をもたらしている本作だが、実は人だけでなく家も奇妙。そもそも西野宅は、家3軒がコの字型に並んだ一番奥に建っており、なんとも陰鬱とした雰囲気を醸しだしている。さらに家の中にもコンクリートで固められた無機質な部屋があり…。この不気味すぎる空間でなにが行われているのかは、観てのお楽しみだ。
高台の豪邸にはある秘密が!『パラサイト 半地下の家族』
自宅にある秘密が…という話でいえば、『パラサイト 半地下の家族』(19)も忘れてはいけない。本作は貧しい生活を送る一家が身分を偽り、高台の豪邸に暮らすIT長者の家に入り込んでいく様子を描いたもの。
半地下の家に暮らす全員失業中のキム一家は、息子のギウ(チェ・ウシク)が金持ちなパク一家の娘の家庭教師となったことを機に、妹ギジョン(パク・ソダム)は美術の家庭教師に、父ギテク(ソン・ガンホ)は運転手に、母チュンスク(チャン・ヘジン)は家政婦となり、次々と一家に入り込むことに成功する。パク家が外出し家を空けたある日、豪邸で好き放題していたキム一家だが、そんな最中、解雇された前任の家政婦が訪問し…。
本作で目を引くのが半地下の家ではなくパク一家の大豪邸。モダンな造りの家は、広々としたリビングは一面に大きなガラスが張り、青々とした芝が生い茂る庭に、サウナまで付いた、まさに贅の極みを尽くした誰もが羨む家だが、ある隠された空間があり、物語を大きく動かす重要なキーポイントとなっている。
増築を繰り返した幽霊屋敷『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』
カリフォルニア州に現存し、観光地化するほど有名な激ヤバハウスで繰り広げられる恐怖を描いたのが『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(18)だ。
ウィンチェスター銃で莫大な財産を築いた夫と子どもを立て続けに失い、遺された広大なお屋敷で一人悲しみに暮れるサラ(ヘレン・ミレン)。ちまたでは夫の死は、銃によって命を奪われた怨霊によるものだと噂され、自分も怨霊に取り憑かれていると思うようになったサラは霊媒師の助言に従い、サンノゼに引っ越し、怨霊から逃れるため家の増築を繰り返す。そんなサラの精神鑑定に訪れたエリック(ジェイソン・クラーク)は、豪邸で数々の怪奇現象を目の当たりにし、彼女が正気だと確信する。
サラが亡くなるまでの38年間、365日24時間休むことなく増築し続けられたというこの家は約160にもおよぶのだそう。さらに13個の排水溝がついたキッチンや、13段の階段など、欧米では嫌われる”13”という数字へのこだわりも満載。上ると壁に突き当たる階段や秘密の通路など、幽霊を翻弄するため(?)の様々な仕掛けが施されているというから驚きだ。
アパート丸ごとデストラップだらけの『クロールスペース』
家単位でなく、アパート1棟丸ごとヤバいのが『クロールスペース』(86)だ。本作は女性だけが住むアパートを舞台に、管理人の偏執ぶりを描いた名優クラウス・キンスキー主演のカルトスリラー。
美女ばかりが住むアパートを経営しているカール(キンスキー)は、屋根裏の通風口からその様子を覗き、時にネズミを部屋にけしかけて女性を怯えさせ、頃合いが来た頃には殺してしまうという異常者だった。そうと知らずアパートに引っ越してきた大学生のロリ(タリア・バルサム)は、カールに命をねらわれてしまい…。
アパートにも美女ウォッチからのハントを楽しむカールの工夫が凝らされており、腹ばいで進まないといけない“クロールスペース”こと通気口には、移動しやすいように滑車が収納されるなど仕掛けだらけ。獲物を逃さないように鉄格子がいきなり飛び出したり、命を奪うために椅子の座面から刃物が飛び出したりといった罠も満載の、まさに殺人に特化したアパートだった。
まるで目のように2つの窓が並んだ外観からインパクト抜群な『悪魔の棲む家』(79)やジャパニーズホラーの家といえば忘れてはいけない「呪怨」シリーズ、曰く付き物件を題材にした『事故物件 恐い間取り』(20)など、不気味な家が登場する映画は数知れずあるので、ぜひチェックして、ゾゾっとした気分を味わってほしい。
文/サンクレイオ翼