ラブストーリーでも魅せる俳優、佐藤健!多彩なキャラクターを自然体で演じる独特の存在感
過去と現在の恋愛模様を一人で演じ分けた『四月になれば彼女は』
数々の名ラブストーリーを担ってきた佐藤の新作が「世界から猫が消えたなら」の川村元気が執筆した恋愛小説を原作とした『四月になれば彼女は』(公開中)。精神科医の藤代俊(佐藤)の前から、婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)が突然姿を消す。それはかつての恋人、伊予田春(森七菜)から手紙が届いた頃と重なり…。
“佐藤ラブストーリー”の醍醐味である、初恋、すれ違いをモチーフにしており、この1本で恋愛作品における佐藤の魅力を一気に満喫できる内容になっている。愛する弥生になかなか伝わらない藤代の思い。器用なのになぜか恋には奥手な彼が友人に相談しては、(痛いところを突かれて)撃沈する姿が愛らしい。
さらに森七菜演じる春との大学の写真部時代のエピソードでは、恋の始まりを予感させる甘酸っぱいシーンが相次ぐ。バイクでの2人乗りや互いの気持ちを写真で伝え合う交換日記代わりの手紙のやり取り。なにより佐藤がファインダー越しの森に見せる表情の甘さ。二度と戻らない青春を生きる男女のフレッシュさと、酸いも甘いも経験した大人ならではの落ち着いた時間が次々と映しだされていく。
一人の男性の過去と現在の恋愛模様を一人で演じ分け、どちらも甲乙つけ難い色気を放つ佐藤。強いて言えば、「初恋」の満島ひかりと同様にずっと見ていたいと思わせる、本能タイプの女優である森七菜は佐藤の12歳年下でもあり、映像的にもこれまでにない好相性。藤代に扮した佐藤がウインクしている姿を写した、本作のキービジュアルとして公開された“恋するビジュアル(通称:恋ビジュ)”は実際に森が撮影したもので、本物の恋人が撮影したような自然な表情が公開前から話題になっている。“たけもね”以上の社会現象になるのか、期待が高まる。
文/高山亜紀
作品情報へ