「TOKYO VICE Season2」笠松将が語る、東京でのロケ撮影で感じるドキドキ「歌舞伎町で撮影ができるんだ!」
「アンセルとは毎テイク新鮮で刺激的で、一緒にお芝居をしていると楽しいんです」
細部にまでこだわる。そこはロケーションだけに留まらないし、笠松が演じた佐藤もSeason2では複数の他者との繊細で複雑な関係性を通してこれまでとは違う表情を見せ始める。「三角関係のような流れにもなるし、子どもとのシーンもある。そういう様々な要素が組み合わさって、佐藤のキャラが構成されているから、自分がこの10年一生懸命やり続けて、培ってきた引き出しでいろいろ遊ぶことができましたね」と、笠松も感慨深げだ。
なかでも、出所してくる兄貴分のヤクザ、葉山役で新たにシリーズに参加した窪塚洋介との芝居は忘れられないようで、「窪塚さんはカメラが回っていないところでもすごく面倒を見てくれた。だから、芝居の時も気を遣わずに全力でやりたいことをやらせてもらえたし、それが映像にも出ていると思います」と述懐する。
「営業妨害と言うか、ご本人の印象を崩しちゃうかもしれませんけど、とってもいい方で。僕の気合いが入るあまり、『絶対こうしたほうがいいと思いますよ!』って監督に言った時も、窪塚さんが『じゃあ、1回やってみよう』ってまとめてくださったし、めちゃくちゃちゃんとした大人でした(笑)」
笠松もこの2年の間に確実に進化している。Season1の時はただ丸暗記して喋っていた英語のセリフも意味が理解できるようになり、海外のキャストやスタッフとも少しずつ臆せずに英語で喋れるようになった。ジェイクの頼みを聞く食事のシーンなどにもそれが表れている。ジェイクを演じたエルゴートとは年齢が近いこともあり特にリスペクトを寄せ、「彼の爆発するようなエネルギーはスゴい。それが毎テイク新鮮で刺激的だったから、一緒にお芝居をしていると楽しいんです」と訴える。
「感情を表現するために使うのが“動き”なわけじゃないですか。でも、どこかで見失って、“動く”という目的だけになってしまう時があって。そういう罠に陥ることもあると思うんですけど、アンセルはテイクごとに動きや喋っていることがめちゃくちゃ変わるし、エネルギーがどんどん大きくなっていくから、画に映った時のパワーが強烈で。ワンアイデアでそのシーンの空気をいっきにひっくり返すから本当にスゴいんです。同じ芝居をずっと続ける職人技もスゴいけれど、違うものをどんどん提供して、それで納得させるカリスマ性みたいなものが彼にはある。僕もそこは、時間をかけて盗んでいきたいなと思いましたね」。
その熱のこもった言葉の数々からも、笠松将が大きなものを手に入れたことが伝わってくる。そんな彼が全力で命を吹き込んだ佐藤が、今度はなにを仕掛けるのか。そこも含め、東京での大ロケーションを成功させた「TOKYO VICE Season2」の新展開には目がクギづけになるはずだ。
取材・文/イソガイマサト