ゆりやんレトリィバァ「冒頭から『なにをしてんねん!』ってビックリ」鶴田法男監督&野水伊織と『オーメン:ザ・ファースト』の魅力を語りつくす!
「ダミアンにつながる物語。“謎解きミステリー”としても楽しめる」(野水)
西川「『オーメン』の前日譚でありつつも、この1本でも成り立つ物語になっています。皆さんは『オーメン』が大好きなので本作で初めて『オーメン』に触れるという体験はできないですが、もし、この1本で楽しむならどんな面白さがあるとおすすめしますか?」
鶴田「人間模様もひっくるめて楽しめる作品ですが、なんといってもマーガレットの登場と終わる時の落差です(笑)。女性の物語として観ても面白い気がしています」
野水「ネタバレになりますが、死に様というのでしょうか。サービスシーンがたっぷりあるところは魅力かなと。怖さよりもショックなシーンですが、惨さがあります。視覚的な派手さもあるので、私のようなホラー好きは華やかなシーンだなと思いながら楽しめました(笑)」
西川「死に様といえば、鶴田監督は車のシーンが印象に残ったとのことですが…」
鶴田「照明での演出の仕方が面白かったです。例えば、夜のシーンなら車が近づいてくるとライトが当たって『来るぞ!』というのが分かるじゃないですか。だから照明を暗くしたり、当てないようにしたり、どうにか工夫をするものなんです。でもスティーブンソン監督は律儀にライトを当てている。ジャーナリスト出身で嘘はつきたくない、リアルなものを伝えたいというのを感じられる作品でした。そんなところも楽しめるポイントだと思います」
ゆりやん「ありのままに」
野水「ジャーナリスト魂ですね。真実を伝えるという」
鶴田「そう。『はい!ここでジャンプスケア』とはならないわけです」
野水「逆に予兆っぽく知らしめたのかな、なんて(笑)」
西川「最後に。本作を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!」
鶴田「脅かしのいっぱいある流行の怖い映画とはちょっと違っています。しっかりとドラマがあり、芝居が成立している作品で、76年版『オーメン』につながっていく流れのなかのもの。物語の部分を楽しんでいただければと思います」
野水「怖いところはちゃんと怖がらせてくれる派手さがありつつ、ゴシックホラーとしての美しさもあります。そしてダミアンにつながる物語もしっかり描かれているので“謎解きミステリー”としても楽しめるんじゃないでしょうか。ホラーのジャンルは多岐にわたりますが、この作品はいろいろなジャンルが好きな方が楽しめる一作になっています。76年版『オーメン』もきっと観たくなる作品です!」
ゆりやん「観たあと、いろいろな人と喋りたくなる、答え合わせをしたくなる作品です。考察するのがめっちゃ楽しいと思います。『あなたの周りに、ダミアンはいませんか?』……以上です(笑)」
鶴田・野水「アハハハ!」
構成・文/タナカシノブ