「国民的彼氏」と呼ばれる理由は?代表作でシュー・グァンハンの魅力を深掘りする

コラム

「国民的彼氏」と呼ばれる理由は?代表作でシュー・グァンハンの魅力を深掘りする

日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)は、仕事と人生の目標を失った36歳のジミーが、18歳の時に出会った初恋相手、アミとの記憶をたどる旅をする物語。清原果耶とW主演を務めるのは中華圏のみならず、アジア中で大人気の台湾俳優シュー・グァンハンだ。

台湾で話題を呼んだ紀行エッセイを映画化した日台合作ラブストーリー『青春18×2 君へと続く道』
台湾で話題を呼んだ紀行エッセイを映画化した日台合作ラブストーリー『青春18×2 君へと続く道』[c]2024「青春 18×2」film partners

前編ではグァンハンがブレイクするまでの道のりを追ったが、後編となる今回は彼の魅力が堪能できる代表作を紹介する。

心優しい青年の光と影『ひとつの太陽』

2019年はシュー・グァンハンにとって、飛躍の年だったに違いない。

台湾のアカデミー賞と言われる第56回台湾金馬奨で、作品賞など5冠に輝いた映画『ひとつの太陽』(19)に出演。家族の崩壊と再生を描いたこの映画で、グァンハンは4人家族の長男を演じた。

次男の逮捕をきっかけにバランスを失った家族の崩壊と再生を描くヒューマンドラマ『ひとつの太陽』
次男の逮捕をきっかけにバランスを失った家族の崩壊と再生を描くヒューマンドラマ『ひとつの太陽』[c]EVERETT/AFLO

穏やかで誰に対しても優しい長男・阿豪(アーハオ)と、チンピラと関わり、道を踏み外していく次男・阿和(アーフー)。アーフーが罪を犯して少年院に収容されると、もともとギクシャクしていた家族関係にさらに亀裂が入る。自動車教習所の教官をしている父親は、長男の肩に家族の行く末と自分の希望をすべて託そうとするが…。

シュー・グァンハンが演じる医大を目指す優秀な長男アーハオは、親からすべての希望を託される(『ひとつの太陽』)
シュー・グァンハンが演じる医大を目指す優秀な長男アーハオは、親からすべての希望を託される(『ひとつの太陽』)[c]EVERETT/AFLO


アーフーになにがあったのか?この家族が抱える不協和音の原因はなんなのか?不穏なムードの幕開けから、すぐに引き込まれる。

闇を抱えた人物ばかりが登場するなか、1人、日なたを歩いている人物がグァンハン演じるアーハオだ。物腰が優しく、美しい青年なのに、どこか危うい。ものすごく気になる存在なのに、輪郭が薄いのだ。グァンハンは、どんな色にも染まれるその強みで、つかみどころのないアーハオを演じて、観る者にインパクトを与えている。

アーハオは誰にも明かしていない秘密を抱えている(『ひとつの太陽』)
アーハオは誰にも明かしていない秘密を抱えている(『ひとつの太陽』)[c]EVERETT/AFLO

『ひとつの太陽』と同時期に配信されたNetflixオリジナルドラマ「罪夢者」でも、やはり本心が読めない男を演じているが、こちらはアーハオとはまるで違うキャラクター。裏社会で生きる主人公が投獄される刑務所の看守役で、序盤はオーラを消したかのように目立たないのに、佳境に入ってからのギアチェンジぶりに圧倒される。

一見まじめな刑務官だが、後半では一気にギアチェンジ(「罪夢者」)
一見まじめな刑務官だが、後半では一気にギアチェンジ(「罪夢者」)[c]EVERETT/AFLO

グァンハンの大きな魅力は、黒目がちな目にあると思う。温かくもあり、時に深淵のようでもある。明るいのに、真意が読めない。そんな持ち味がうまく活かされたのが、大ヒットドラマ「時をかける愛」だ。

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