1933年公開の元祖から最新作『ゴジラxコング 新たなる帝国』まで!強さと哀愁を纏ったコングの歴史を一気にたどる
「LOTR」のピーター・ジャクソンがオリジナルをリメイクした『キング・コング』
2005年には「ロード・オブ・ザ・リング」三部作で巨匠になったピーター・ジャクソンの『キング・コング』(05)が公開された。オリジナル版の完全リメイクを目指したジャクソンは、時代設定を合わせたうえ、古代生物が棲息する髑髏島での大冒険からNYでのスペクタクルまで、あらゆる見せ場をスケールアップして再現。コングはCGで描かれたが、ルワンダの保護区で野生のゴリラの生態を研究したモーションキャプチャー担当のアンディ・サーキスのなりきりぶりも手伝って、見応え満点の決定版に仕上がった。そんな本作を製作したのはユニバーサル映画。実はユニバーサルは76年のリメイクの際に映画プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスと争奪戦を繰り広げ、90年代後半には一度ジャクソンと契約をしたがローランド・エメリッヒ監督作『GODZILLA/ゴジラ』(98)とのバッティングを避け製作を中断した過去を持つ。「ロード・オブ・ザ・リング」の大成功を目にしてジャクソンと再契約し、3度目の正直でやっとコングのリメイクを実現した。
コングがモンスター・ヴァースに参戦した『キングコング:髑髏島の巨神』
『GODZILLA ゴジラ』(14)の完成後、レジェンダリー・ピクチャーズは『キングコング対ゴジラ』のリメイクを目指し怪獣シリーズ、モンスター・ヴァースを発表。第2弾として『キングコング:髑髏島の巨神』(17)を製作した。ビル・ランダ(ジョン・グッドマン)率いる怪獣研究機関モナークが、地底空洞説を実証するため髑髏島に上陸。コングや巨大怪獣たちに遭遇する。コングをはじめスカル・クローラーやバンブー・スパイダー、リバー・デビルなど怪獣たちが続々と登場。コングと戦闘ヘリやスカル・クローラーとの迫真のバトルのほか、コングとカメラマンのメイソン(ブリー・ラーソン)の交流を盛り込むなど、都市破壊以外の見せ場を網羅した満足度の高いコング映画に仕上がった。なお本作は、ドラマシリーズ「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」の第1話とそのまま連携している。
コングとゴジラの頂上決戦が実現した『ゴジラvsコング』
約60年ぶりとなるゴジラとの頂上決戦が実現したのが、モンスター・ヴァース第4弾『ゴジラvsコング』(21)だ。本作で地上を制するゴジラに対し、コングは地下空洞の守護神であることが判明。ムートーを倒すため目覚めたゴジラは、髑髏島にいるコングを敵とみなし戦いを挑む。不安定な海上での第1ラウンド、香港でビルを壊しながらの第2ラウンドと多彩なロケーションでのバトルは大迫力。ゴジラの圧倒的パワーで絶命しかけたコングが電気ショックで蘇生するなど、『キングコング対ゴジラ』を彷彿とさせる見せ場も楽しめる。コングと心が通じる髑髏島の少女ジア(カイリー・ホットル)や、彼女の保護者でコングを研究しているモナークのアイリーン(レベッカ・ホール)はレギュラーとなっていく。
前作で髑髏島が地下空洞世界の一部が隆起した島だと明かされたが、それが空洞世界の比重の高い『ゴジラxコング 新たなる帝国』では大きな意味を持ってくる。ゴジラとの対峙はもちろん、スカーキングはじめコング同様に二足歩行できる巨大猿怪獣たちとの遭遇など、コングの見せ場が満載に。心優しく気高き怪獣王の大暴れをスクリーンで堪能してほしい。
文/神武団四郎