1933年公開の元祖から最新作『ゴジラxコング 新たなる帝国』まで!強さと哀愁を纏ったコングの歴史を一気にたどる
ダイナミックな着ぐるみ怪獣バトルが満喫できる日米提携作品『キングコング対ゴジラ』
オブライエンはその後もコング映画を模索し、61年にはコングがフランケンシュタインの怪物と闘う『King Kong vs. Prometheus』を企画(プロメテウスとはフランケンシュタイン博士を指す)。この企画はオブライエンの手を離れ、プロデューサーたちの間を巡って東宝創立30周年を記念した日米提携作『キングコング対ゴジラ』として完成した。コング、ゴジラ共に初のカラー作品となる本作は、テレビ局によってファロ島から連れだされたキングコングが日本でゴジラと激突するエンタテインメント大作。『キング・コング』の影響で怪獣特撮を目指した特技監督、円谷英二によるダイナミックな着ぐるみ怪獣バトルが満喫できる。熱海城を破壊しながら激突するコングとゴジラの姿は、『ゴジラxコング 新たなる帝国』で両怪獣がピラミッドを挟んで対峙するシーンの原型かも?
東宝はその後もコング映画を構想し、『キングコングの逆襲』(67)を完成させた。モンド島のキングコングが、悪の科学者ドクター・フー(天本英世)がコングを模して開発したメカニコングと東京タワーで激突する。コングがピンで活躍する本作は、オリジナルのT-レックス戦を着ぐるみで再現した肉食竜ゴロサウルスとの死闘や大海蛇との戦い、東京タワーをよじ登るメカニコングの高所バトルと見応えある展開。メカゴジラのルーツというべき秀逸なデザインのメカニコングは、ぜひともモンスター・ヴァースに登場してほしいメカ怪獣だ。
1970、80年代に本家コングが復活
『ジョーズ』(75)でアニマルパニックに注目が集まると、本家コングも『キングコング』(76)として復活した。石油採掘のため未知の島に向かった石油メジャーが、そこでコングを発見。NYに連れ帰るが暴れだし…というオリジナルに準じた内容になっている。ただし、本作はコングとヒロインのドワン(ジェシカ・ラング)の交流を軸に展開。ドワンを守ろうとする青年ジャック(ジェフ・ブリッジス)を環境保護団体の活動家にして、彼やドワンが大企業と対立するというカウンターカルチャーの流れを汲む作品になった。島に棲息しているのはコングと巨大ニシキヘビのみで、NYでの大暴れもコングとドワンの逃避行が中心。怪獣映画としては物足りなかったが、のちに7度のオスカーに輝く特殊メイク、造形の神リック・ベイカーによる気高きコングのスーツや演技は素晴らしい出来だった。
その10年後には続編『キングコング2』(86)も公開。貿易センタービルから落下したあと、治療を受け生き延びていたコングに加え、雌猿レディコングや彼らの息子ベイビーコングも登場。米軍とのバトルを繰り広げたり、ヒロインに『ターミネーター』(84)のサラ・コナー役でブレイクしたリンダ・ハミルトンを起用するなど見どころが満載だが、装甲車との戦い以外は盛り上がりのない残念な結果に終わった。