タカ&ユージが歩んできた38年のヒストリー!『帰ってきた あぶない刑事』にいたるシリーズの魅力と衰え知らずのヒーローぶり

コラム

タカ&ユージが歩んできた38年のヒストリー!『帰ってきた あぶない刑事』にいたるシリーズの魅力と衰え知らずのヒーローぶり

横浜に舞い戻ったタカ&ユージの前に娘が現れる!?

最新作では『さらば あぶない刑事』で横浜港署の刑事を定年退職し、ニュージーランドへ渡って探偵事務所を開設したタカとユージ。ところが、向こうの警官と問題を起こして探偵免許を剝奪され、古巣の横浜へ戻って探偵事務所を再開することに。ここに行方不明になった母親を探してほしいとやって来た依頼人の永峰彩夏(土屋太鳳)が、タカとユージの娘かもしれないとわかったことから、騒動が持ち上がっていく。

横浜で探偵稼業を始めるタカ&ユージ(『帰ってきた あぶない刑事』)
横浜で探偵稼業を始めるタカ&ユージ(『帰ってきた あぶない刑事』)[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

タカやユージを追いかけてニュージーランドへ行ったはずの薫や、いまも横浜港署の捜査課長をしている町田など、レギュラーキャラはもちろん健在。ほかにも吉瀬美智子や岸谷五朗、早乙女太一、西野七瀬がゲストとして顔をそろえた豪華なキャストになっている。

横浜港署捜査課長になってもタカ&ユージにこき使われる町田透(『帰ってきた あぶない刑事』)
横浜港署捜査課長になってもタカ&ユージにこき使われる町田透(『帰ってきた あぶない刑事』)[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

ハーレーに乗ってショットガンを撃つタカと横浜の街を全力疾走するユージ

これまでの映画版では傭兵、麻薬や拳銃の密輸犯、テロリストなどを相手に、タカとユージがテレビドラマよりもスケールアップしたアクションを披露したが、今回は2人がすでに刑事ではないのがポイント。あくまで探偵として彩夏の母親探しをしながら、ある事件に関わっていく。それでは彼らのガンアクションは観られないのか!?と思った方はご安心を。タイトル通り“あぶない刑事”として、2人は拳銃を持つのである。

今回もハーレーダビッドソンに跨るタカ(『帰ってきた あぶない刑事』)
今回もハーレーダビッドソンに跨るタカ(『帰ってきた あぶない刑事』)[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

すでに70代を迎えた舘と柴田だが、タカはハーレーに乗ってショットガンを撃つし、ユージは横浜の街を全力疾走する。衰えを知らない彼らのヒーローぶりに喝采を送るファンは多いだろう。

ユージも体を張って彩夏を守る!(『帰ってきた あぶない刑事』)
ユージも体を張って彩夏を守る!(『帰ってきた あぶない刑事』)[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

歳を重ねたからこそのタカ&ユージの新たな魅力

一方で、自分の娘かもしれない彩夏と少し距離を取って接するタカと、彼女に寄り添って話を聞くユージの、“父親”としてのアプローチの違いがおもしろい。かつてのエネルギッシュな雰囲気に、人生の年輪を感じさせる大人の男性としての魅力が今回の2人には備わっていて、舘と柴田の表現者として厚みが増している。ほかにも登場シーンからインパクト絶大な浅野や、いまや重鎮の役を振られることが多い仲村が、ここではタカとユージに頭が上がらない後輩の町田を、楽しそうに演じているのがうれしい。

娘かもしれない彩夏に対する接し方の違いもおもしろい(『帰ってきた あぶない刑事』)
娘かもしれない彩夏に対する接し方の違いもおもしろい(『帰ってきた あぶない刑事』)[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

また、昔からのファンは、テレビドラマ第1シリーズから出演しているベンガル(田中文男役)が、刑事を辞めて情報屋として登場し、同じく最初から出演している長谷部香苗が刑事課課長の秘書、山路瞳役で出ているのにも注目。長谷部は、シリーズを立ち上げた当初のメイン監督を務めた長谷部安春の娘だが、今回の映画を撮った原廣利監督も、第1シリーズで監督に昇進した原隆仁監督の息子。父から子へ受け継がれた作品のエッセンスが端々に感じられる、見応えのある作品になっている。

新たな“あぶ刑事”ブームを予感させる『帰ってきた あぶない刑事』
新たな“あぶ刑事”ブームを予感させる『帰ってきた あぶない刑事』[c]2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会


最近はNetflixで配信された鈴木亮平主演の『シティーハンター』が話題になったが、その原作漫画が発表されたのは1985~91年。86年に誕生した「あぶない刑事」もそうだが、コンプライアンスなどの締め付けが厳しくなかった80年代に創造された、アクションヒーローの痛快な活躍を待望する機運が再び高まっている気がする。そういう意味でも今回の作品は、新たな“あぶ刑事”ブームの第一歩になるかもしれない。

文/金澤誠

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