【ネタバレレビュー】すべてをエグる球体、閉鎖的な町…「七夕の国」初回から3話まで、怒涛の“謎”が押し寄せる!
「寄生獣」や「ヒストリエ」などで知られる岩明均の名作コミック「七夕の国」が、「ガンニバル」などの話題作を手掛けるディズニープラス「スター」にて実写ドラマ化され、独占配信がスタートした。壮大なスケールと刺激的な表現から“映像化困難”と言われ続けてきた本作に、ドラマ「ドラゴン桜」、大河ドラマ「どうする家康」など話題作への出演で躍進を続ける細田佳央太を筆頭に、藤野涼子、上杉柊平など新進気鋭の俳優たちのほか、物語のキーマン役で山田孝之など、豪華キャストが集結した。
MOVIE WALKER PRESSでは、本作に散りばめられた“謎”を徹底考察するレビュー連載をお届け。本稿では、一挙配信となった第1話から第3話を、ライターのイソガイマサトがレビューする。
※本記事は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。
衝撃的な現象もしっかり見せる…配信ドラマだからできるインパクト
「ちょわああああ」という大声と共に、あらゆる物に小さな穴をあける。なんの役にも立たない特殊能力を持った大学4年生、通称ナン丸の南丸洋二(細田)。大学の「新技能開拓研究会」の部長でもある彼は、失踪した丸神教授(三上博史)を捜しに丸神ゼミの講師・江見(木竜麻生)やゼミ生の桜木(西畑澪花)、多賀谷(濱田龍臣)らと、自らのルーツの地でもある東北の閉鎖的な村、“丸神の里”こと丸川町に足を踏み入れる。一見のどかな町だが、建設会社の社長(柳憂怜)が上半身を丸くえぐられて殺害される怪事件が起きていた…。
全10話からなる本作は、岩明均の同名の原作コミックに忠実に、そんな、ナン丸のなに気ない日常がゆっくり不穏な空気を帯びるところから幕を開ける。
第1話ではナン丸の役に立たない能力を何度となく紹介しながら、失踪した丸神教授が“丸神の里”と呼ばれる丸川町を訪れた理由と、教授の失踪が、彼がナン丸のものよりも強大な破壊力を持つ特殊な能力を開花させたことと関係があるのではないかということを示唆。
「新技能開拓研究会」の活動を「時間の無駄」と言って退部した浅野(倉悠貴)が怪しげな「新技能啓発セミナー」に入会する伏線を巧妙に張り、建設会社社長の上半身が「パンッ」という乾いた音と共に消えてなくなる衝撃的な現象もしっかり見せる周到な導入部になっていた。