次なる貞子、伽椰子となるか?新たなるJホラーのアイコンが誕生した『ミンナのウタ』の怖すぎる魅力

コラム

次なる貞子、伽椰子となるか?新たなるJホラーのアイコンが誕生した『ミンナのウタ』の怖すぎる魅力

例年以上の酷暑となっている今年の夏。蒸し蒸しとしたイヤ〜な暑さが続くこのシーズンに観たくなるのが、肝まで冷えるジャパニーズホラーだ。毎年多くの新作が公開されているが、昨年の『ミンナのウタ』は予告編が一部劇場で上映中止となるなど「怖すぎる」と話題になった1作。そのDNAを継ぐ『あのコはだぁれ?』(公開中)がいよいよ公開されたいま、『ミンナのウタ』のなにが怖かったのか?その魅力をネタバレ全開で振り返っていきたい。

GENERATIONSが次々と、、、清水崇監督による王道ホラー

【写真を見る】GENERATIONSの出演も話題になった『ミンナのウタ』の“怖ポイント”をおさらい!
【写真を見る】GENERATIONSの出演も話題になった『ミンナのウタ』の“怖ポイント”をおさらい![c]2023「ミンナのウタ」製作委員会

「呪怨」シリーズや近年の“恐怖の村”シリーズで知られる清水崇が監督・共同脚本を手掛け、GENERATIONS from EXILE TRIBEを主役に迎えた本作。GENERATIONS全員が本人役で出演するという現実とフィクションが地続きとなったモキュメンタリー的な設定のもと、メンバーが“呪いのメロディー”による恐怖の連鎖に見舞われるという内容だ。

ライブを直前に控えるある日、ラジオ番組のパーソナリティを務める小森隼は、ラジオ局の倉庫で「ミンナのウタ」というラベルが貼られた謎のカセットテープを発見。その後の収録で「カセット…テープ…届き…ま…した…?」という謎の声を耳にすると、数日後、忽然と姿を消してしまう。

小森の失踪を機に物語が進んでいく!(『ミンナのウタ』)
小森の失踪を機に物語が進んでいく!(『ミンナのウタ』)[c]2023「ミンナのウタ」製作委員会

ライブが迫るなか、マネージャーの凛(早見あかり)は事態を解決するため、探偵の権田(マキタスポーツ)に捜査を依頼。メンバーへの聞き込みを行うと、小森だけでなくメンバーにも異変が起きていることが発覚し、ある女子中学生、高谷さな(穂紫朋子)の存在が浮かび上がってくる…。

Jホラーのイヤ〜な空気感からのショックシーンのコンボが怖すぎ…

GENERATIONS主演のアイドル映画だと高を括っていた人を恐怖のどん底へ突き落とし、ホラー映画として評価された本作。その要因の一つがしっかりとJホラー的な怖さを追及している点だろう。

アナログな質感がイヤ〜な恐怖を演出していく(『ミンナのウタ』)
アナログな質感がイヤ〜な恐怖を演出していく(『ミンナのウタ』)[c]2023「ミンナのウタ」製作委員会

キーアイテムとして登場するカセットテープのノイズの乗ったサウンドが醸しだす不気味かつアナログな質感をはじめ、キャラクターたちの奇妙な言動。禍々しい家で起こる奇怪な出来事に、その家の前にポツンとたたずむ少年“俊雄”の存在といった「呪怨」を彷彿とさせる要素など、真綿で首を絞めるかのようなジワーッとした恐怖が観客を追い詰めていく。

恐怖の舞台となる家も清水監督らしいポイント(『ミンナのウタ』)
恐怖の舞台となる家も清水監督らしいポイント(『ミンナのウタ』)[c]2023「ミンナのウタ」製作委員会

重要な舞台となる高谷家の一幕では、なにやら不穏な雰囲気を放つさなの部屋に対し、階段下から声をかけるさなの母親が壊れたように同じ言動を繰り返し、その後突如、白目を向きながらカメラに迫って来るというトラウマシーンも登場し、SNSでは最恐と話題に。

さらにホテルの廊下で関口メンディーに向かって走り寄ってきた俊雄が、飛びつく瞬間におぞましい顔をしたさなに変わっている、マリオ・バーヴァ監督の『ザ・ショック』(77)を彷彿とさせるシーンも。不気味なJホラー的雰囲気からのショック描写という良質なジャンプスケアなど、気合いの入ったホラー描写は圧巻だ。


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