「頼之と山田孝之がシンクロ…!」「七夕の国」キャスト&監督がいまだから明かせるキャラクター作りの裏側
「自分の新たな壁みたいなものを感じました」(藤野)
――藤野さんには、どんなムチャ振りをしたんですか?
瀧「さっきも言ったけれど、幸子はめっちゃ難しい。僕、『幸子役をやれ!』って言われたら、ちょっとビビりますもん(笑)」
細田・藤野・上杉「(爆笑)」
瀧「幸子はすべてを諦めているようなところがある。最後には“あっち側に行ってしまおう”と思うような女の子ですからね」
藤野「そうですね」
瀧「なので、藤野さんには『藤野さん自身が備えている生きる力とそれに伴う目の力や存在感を抑えてほしい』というお願いを現場でちょいちょいしました」
藤野「そうでした、そうでした」
瀧「言うのは簡単ですけど、それを体現するのはめっちゃ難しかったと思います。ただ、生命力のある幸子から始めちゃうと、クライマックスの彼女に行き着けないような気がしたので、惰性で生きている感じを求めたんです」
藤野「ホン読みの時も、瀧さんから『感情を入れずに棒読みのように』ってこれまでの現場とは逆のことを言われたので、“どうすればいいの?”と思ったぐらい難しくて。自分の新たな壁みたいなものを感じました」
「高志の愛されたい気持ちや認められたい気持ち、寂しさみたいなものがわかります」(上杉)
――高志はどうだったんですか?先ほど監督は「わかりやすいキャラだし、あとの2人ほど演じるのは大変じゃない」みたいなことを言われましたけど。
上杉「高志のことは僕もわかるんですよ。高志の愛されたい気持ちや認められたい気持ち、寂しさみたいなものが。それに一番シンプルに男っぽいから、特に役作りに苦労することはなくて。逆に、僕も『ナン丸をやれ!』って言われたら、めちゃくちゃ悩むでしょうね。まあ、そんなオファーは絶対に来ないでしょうけど(笑)」
藤野「私は完成したドラマを観た時に、上杉さんが演じた高志には、原作以上に彼の弱さみたいなものを感じました」
――どのあたりでそれを感じたんですか?
藤野「ナン丸さんの家で、彼に『幸子はどうしてる?』って聞いた時の表情とかですかね。私はその時の撮影を見てないし、どういう感じで上杉さんがあのセリフを言ったのか知らないけど、私が想像していたよりも、いい意味で弱さが出ていて。あれは幸子が知ることのない表情でもあるので、とても印象に残っています」
上杉「高志は自分のことを知ってもらいたいし、認めてもらいたいだけなんですけど、その気持ちの吐きだし方がほかの人とちょっと違うんですよ。僕はそう認識してました」
瀧「高志は特殊な能力を持っているけれど、自分に才能がないと思っていて、それが暴力という形になったり、人間としての弱さにたぶんつながっているんです。上杉さんとは衣装合わせの時、そんな高志のダメなキャラのところで意気投合しました(笑)」
上杉「“ダメなところ”っていう言い方も(笑)」
瀧「いやいや、なんだろうな?弱さに起因した高志なりの理屈をちゃんと理解してくれていると思ったので、上杉さんには現場でもそれ以上のことはなにも言ってない」